結婚しない女性の多くは、結婚する前から結婚に幻滅をしている
最近、「結婚したくない人」がニュースになることが増えているように感じます。女性で見てみると、その割合は全体の3割にもなるというデータがあります(日本生命保険調べ)。これは男性の2倍近くにもなるので、いかに女性が結婚に対して消極的であるかがわかると思います。
私が主宰しているのが結婚予備校ということもあり、「結婚したくない」という人とはあまり会う機会がありませんが、「結婚したくないと思っていた」という人とお話することは多々あります。なぜそう思うのかを聞いてみると、以下のような理由があがってきました。
(1)やりたいことがある。
(2)束縛されたくない。
(3)結婚にメリットが感じられない。
(4)結婚している人が不幸そうに見える。
(5)親が不仲で幸せになれる気がしない。
(6)母親との確執があり、「あんな母親にはなりたくない」という思いが強い。
上記のことからわかるように、結婚しない女性の多くは、結婚する前から結婚に幻滅をしているのです。その背景にあるのが、「両親の姿」です。子どものときからずっと両親を見ているので、子どもの結婚観は「両親の夫婦としての生き方」に大きく影響されます。そのため、理想的な夫婦とまではいかなくても、ごくごく普通の夫婦であれば、子どもの結婚観もそうなってくるのです。
大人になって初めて母親に抵抗、そのひとつが結婚
加えて、女性の場合には、母親との仲が大きなカギになってきます。母親は女の子を持つと、自分が叶えることができなかった夢や反対されて諦めたことなどを娘に託す傾向があるからです。
いくら母子といっても母と娘は別人格ですが、少子化の中で貴重な子どもという感覚も加わり「娘のために」という思いが強くなってしまうのです。これに娘が素直に従うこともありますが、ほとんどの場合「母親の言う通りに生きるのは苦痛だ」と感じ始めます。娘のために良かれと思って母親ががんばればがんばるほど、娘には大きな負担としてのしかかってしまうのです。
娘が「No」と言うことができないために、幸せな幼少期を過ごせないことも多々あります。子どもながらのわがままや言いたいことを母親に伝えることができずに、グッとがまんする日々が続きます。結果、後悔や母親に対する敵対心、場合によっては恨みなどが蓄積し、大人になって初めて抵抗を見せるのです。そのひとつが、「結婚をしない」ということです。
親は、娘がいつまでも独身だと世間体を気にします。もちろん、孫の顔も見たいので、子どもを産めるうちに産んでほしいと思っています。ところが、いくら心配したところで「私は、親のために結婚するのではない」と思っている娘は、もはや親の言うことなど聞く耳をもちません。
親の離婚を経験し、さみしさや大変さがわかるからこその不安も
また、離婚した親を持つ人は「自分も離婚するのではないか」と不安に思っているのは事実です。離婚した後のさみしさや、大変さは自分もよくわかっているからです。今や、2分に1組が離婚する時代ですが、生涯仲良く暮らしたいと思うのは誰でも同じなのです。
とはいえ、親には感謝をしている人が圧倒的に多いというのも事実です。大人になったからこそ親の思いが理解できる反面、自由を求める自分もいるのです。結婚しない女性の背景には、いろいろな要因が複雑に絡み合っています。そのため、結婚しない女性うんぬんというのではなく、まずは「なぜ結婚しないのか?」という部分を、周囲が少しずつ理解していくことが大切だと思います。
(佐竹 悦子/結婚カウンセラー)