ご飯と牛乳。給食だからとの理由はナンセンス
先日、新潟県三条市で「ご飯に合わない」との理由により、給食から牛乳を外すことが決まったというニュースが取り上げられていました。新潟は米の産地でもあり、三条市では給食のパンや麺を一切やめ、地元産の米を7年前から出しているそうです。そこで、今年の9月から牛乳を献立から外すことが決まり、 これに関して賛否両論、意見が分かれています。
牛乳はカルシウムが豊富で、手軽に摂取できることから昔から給食の定番ですが、大人でもご飯と一緒に牛乳を飲む人はあまりいないでしょう。焼き魚やきんぴらごぼう、炊き込みご飯などの献立に、あなたは牛乳を合わせますか?もしくは、好んで合わせたいと思いますか?
大人でも普段合わせない組み合わせを「学校給食だから」「カルシウム摂取が目的だから」「子どもだから牛乳でよい」という理由で出していたとすれば、ナンセンスだと思います。料理の味わい、全体のバランスや調和も味覚を育てる上でとても重要な要素です。
学校給食も過度期にある
では、料理全体としての組み合わせを考えた場合、実際、牛乳はご飯や和食に合うのでしょうか。そこで、元ロイヤルパインズホテル元統括料理長を経て現在、麻布十番「和処きてら」の店主でなだ万OB会副会長の佐々木生剛氏に、和食と牛乳の組み合わせについてお聞きしました。
(以下、佐々木店主)―「和食やご飯に牛乳を合わせることは、理にかなっていないと思います。和食は水、こぶ、かつお、味噌、醤油、味醂、酢、塩などと素材との組み合わせです。これらの食材に、元々牛乳は必要有りませんし、合いません。学校給食でも、和食の日はきちっと和食を、洋食の日はきちっと洋食で提供したほうが、全体の味のバランスや食育の観点からもよいと思います。そろそろ、学校給食も過渡期にあるのかもしれませんね」
学校と家庭が協力し合い、子どもの食環境を整えることが急務
では、牛乳を給食から外す場合、大切なのは他の食材からカルシウムを補えるようにメニューを工夫することです。冒頭で出てきた三条市では、給食とは別に「ドリンクタイム」という時間を設け、牛乳の提供は続けるようです。
しかし、1日に必要なカルシウムを、必ず学校で摂取しなければいけないという決まりがあるわけではありません。足りないカルシウム分は、各家庭で補えば済むことです。何でも学校に求めるのではなく、各家庭でも、子どもの成長や発育に欠かせない栄養素を過不足なく摂れるよう努めることも大切ではないでしょうか。学校と家庭、両者が互いに協力し合い、連携しながら子どもたちの食環境を整えることが求められていると思います。
(小針衣里加/料理研究家)