子どもの睡眠状況の悪化が問題に
子どもの睡眠の悪化は、ここ数年大変問題になっています。最近では幼児も夜更かしの傾向が進み、今後成長に何らかの問題が起こることも懸念されています。入園入学前の幼児の場合は起床時間が不明確で、起きるまで起こさないことがほとんどで、学童児より夜型になりやすい傾向にあります。
直接原因は、インターネットやテレビゲーム、両親の遅い帰宅時間、15時以降の昼寝などでしょうが、基本的には親の生活習慣の悪影響をそのまま受けてしまっていると考えられます。
親の生活習慣を改善する必要がある
睡眠の乱れは、ヒトという動物が持っている体内時計の乱れです。ヒトの体内時計は、社会の時間24時間よりも若干長くなっています。そのため、後にズレやすい傾向にあり、夜更かし型へと移行しやすいということになります。また、朝に光を浴びると体内時計はリセットされ、その約17時間後から眠気が起こるメカニズムになっているため、起床時間が曖昧であればその分、眠気が起きるのも遅くなります。
このような状況になる前に、親が生活習慣を改善しなければなりません。幼児の睡眠習慣の改善は、環境の改善が最も重要でしょう。
・朝は決まった時間に部屋に光を入れて明るくする。
・夜遅くまでテレビやパソコンを付けない。
・早めに部屋を暗くする。
このような「眠る環境づくり」を整える必要があります。
欧米諸国に比べ日本の子どもの就寝時刻は遅い
欧州諸国に比べ、日本の子どもは就寝時刻がとても遅く、4~5人に1人は睡眠習慣や睡眠障害など、睡眠に関して何らかの問題を抱えているといわれています。国立保健医療科学院などの全国調査では、朝型は約33%にとどまり、中間型は約57%、夜型は約10%だったというデータがあります。2013年の調査では、全国で約420万人の3~6歳児のうち通園するのが約300万人、その10%ですから30万人が夜型ということになります。
また、この調査では入眠時刻が朝型は20時50分、中間型は21時30分、夜型は22時00分とされ、完全に目が覚める時刻が朝型は6時40分、中間型は7時10分、夜型は7時30分というデータもあります。幼児は10~14時間の睡眠時間が必要ですが、どのタイプも睡眠時間は10時間をギリギリキープしているように見えます。しかし、入眠時間は就寝時間(床に入る時間)を意味するため、実際は10時間を切っていることも懸念されます。
子どもの生活時間の夜型化や睡眠時間の減少は、成長の遅れ、集中力、記憶力、思考力、免疫力の低下など、さまざまな悪影響をもたらし、心を落ち着かせる物質「セロトニン」が夜更かしで減少することで、暴力的になることもあります。そして、最も怖いのが、夜型の生活習慣が当たり前になってしまうことでしょう。そんな状況にならないよう、両親は自分の生活習慣の改善について、子どもをベースに考える必要があります。
(荒井 信彦/快眠探求家)