電通総研が18~29歳の男女3000人に「若者×働く」調査を実施
電通総研が今年3月に実施した「若者×働く」調査の結果について、にぎやかな議論がネット上で展開されています。この調査は、週に3日以上働いている18~29歳の男女3000人を対象に実施されました。その主な調査結果は以下の通りです。
(1)若者の約3割が非正規雇用。男女別では、男性の22.8%、女性の42.6%が非正規雇用。
(2)働く上での不満は、「給与・ボーナスの額が低い」(50.4%)、「有給休暇が取りづらい」(23.8%)、「仕事がマンネリ化している」(17.6%)が上位3つ。その他に「通勤時間が長い」「残業が多い」といった、時間に関する不満が若い年代になるほど高スコア。
(3)「働くことは当たり前のことだ」と思っている人が39.1%いる一方で、28.7%の人が「できれば働きたくない」と考えている。
この結果から、「やっぱり今の若者たちは働きたくないんだ」と結論づける論調のネット記事が多数登場し、それに対して「この調査の質問の仕方が誘導的だ」「若者だけが怠け者のように言うのは短絡的だ」など、反論する投稿もたくさん寄せられているようです。
若者だけでなくミドル・シニア世代も自分らしい働き方を希望
さて、この記事を読んでみなさんはどう感じるでしょうか?「できれば働きたくない人 3割」というのは、「意外に少ない」というのが私の感想です。日々、就職相談を受ける立場で、若者だけでなくミドル・シニア世代の生の声を聞いていますが、彼らの過半数は「収入の心配さえなければ、自由になりたい」と言います。ここで注意しなくてはいけませんが、「働きたくない」「自由になりたい」という言葉は、必ずしも「仕事や社会貢献をしたくない」という意味に直結しません。
利益追求で、社員に無理をさせるような会社にしばられることは嫌だけど「もっと自分の思うように伸び伸びとやりがいのある仕事ができたらいいのに」と思っている人や、「自分の個人的な時間とバランスが取れるならいいのに」と考えている人も、「できれば働きたくない」と答える場合があるのです。それは、前出の調査結果にある通勤時間や残業に関する不満度の高さや、「会社に所属しながら、在宅勤務など、自宅で仕事をする働き方をしてみたい」(19.7%)「働き手の事情に応じて、勤務時間を選べる環境で働きたい」(16.4%)といった回答からも読み取れるのではないでしょうか。
現代の若者は自分の自由になる時間を求める傾向に
特に現代の若者は、自分の自由になる時間を求める傾向があるようです。時間の方がお金より大切だという人も珍しくありません。収入は必要最低限でも、自分のやりたいことをして人生を充実させたい「ワークライフバランス派」と言えるでしょう。
仕事そのものに生きがいを見いだせる人は、本当に幸せです。彼らは働くことに喜びと誇りを持っているでしょう。しかしその反対に、仕事とは無関係のところに人生を輝かせる何かを持っている人はきっと、「できれば働きたくない」と言うのではないでしょうか。
(安藤 ゆかり/研修講師・キャリアコンサルタント)