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20代若者のビール離れを阻止?チョコ風味のクラフトビールが人気のワケ

JIJICO 2015年8月25日 17時0分

若者のお酒離れ、苦いビールより甘いリキュールを好む傾向に

近年、20代のお酒離れが顕著です。特にビール離れは目を見張るものがあり、その理由は味が「苦い」ということのようです。確かに生まれて初めてビールを口にしたとき「まずい」と感じた人も多いのではないでしょうか。また、子どもの頃にビールをなめて「うまい!」と思った人はほとんどいないと思います。

ビールのこの「苦味」が、嫌われている最大の理由なのです。ちなみに日本酒は、「オヤジくさい」「二日酔いになりやすい」ということで嫌われているようです。
ビール業界もそのあたりを踏まえつつ、さまざまな取り組みを行っています。最近の若者の間で好まれている酒類は、甘さの効いた「リキュール」。そこに目をつけ、人気爆発なのが苦味をおさえたビールや果物系、チョコ風味といった新テイストのビールです。

チョコやフルーティーな香りと味わいを楽しめるビールが人気

「サンクトガーレン」のチョコビールは、特に注目されているクラフトビールです。チョコビールと言っても、基本的にはチョコレートやカカオを使っているわけではありません。ビール製造に使う麦芽をあえてしっかりと焦がし、香ばしくさせたものを原料にして造るとチョコ風味に近いビールになります。もちろん チョコを直接加えて作る方法もありますが、それはもはや「カクテル」。ゴディバチョコレートリキュールをビールに加えれば、自宅でもカクテル感覚で作ることが可能です。

果物系の味わいは、クラフトビールでは定番となっています。果物の果汁を原料の一部として加えてフルーティーさを生み出すビールも多いですが、伝統的なビールの造り方でも生み出すことができます。ドイツのバイエルン地方の醸造法で生み出される、バナナの味わいがする「ヴァイス」などがそうです。また日本酒のフルーティーな香りを生み出す吟醸用酵母を使用し、リンゴ系の香りや味わいを生み出すものなどさまざまです。

日本では、のどごしを楽しむことに主眼の置かれたスッキリとしたラガーやピルスナー系が9割を占めます。本場ベルギーやドイツでは、味わいを楽しむビールの存在感はワインを圧倒しています。

子どもが嫌う酸味や苦味は、大人になるほどおいしく感じるように

元来、ビールの味は「苦い」もの。苦いビールを楽しむ方法と言えば、唯一ただただ飲み慣れするしかありません。何度も飲むにつれて、不思議と「苦味」がおいしく感じるときがやってくるのです。暑い日にしっかりと冷やしたビールを、ジョッキからガバッと口に流し込み「のどごし」を楽しむ。苦味が爽快に感じ取れるくらい、味わわずに飲むことです。

またビールに合うマリアージュで楽しむ方法もあります。焼肉やステーキなど焦げの苦味とのペアリングです。第三のマリアージュと言われる「枝豆とビール」もうまさ格別の組み合わせです。

赤ちゃんは、苦いものや酸っぱいものを口に運ぶと不快な顔をして吐き出します。喜んでペロペロする赤ん坊はいないでしょう。つまり酸味や苦味を嫌うのは「子どもの味覚」なのです。そのような意味でも「酸味」や「苦味」が心地よく感じるようになることは「大人」になった証拠です。「苦味」が苦手な人も、クラフトビールをきっかけに「ビターテイスト」を楽しめる本当の「大人の領域」に踏み込んでみてはいかがでしょう。

(鎌田 孝/利酒師)

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