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時代は「売り手市場」の就活!内定者辞退の予防法

JIJICO 2015年9月13日 10時0分

2015年度の採用から一気に売り手市場へ転換

2008年のリーマンショックから「就職氷河期」が続いていましたが、2015年度にこれが一変しました。リクルートワークス研究所の調査によれば、2015年度の大卒有効求人倍率が1.64倍と前年1.28倍から大幅に増加し、一気に売り手市場となりました。2016年度についてもこの傾向は続いており、有効求人倍率は1.73倍となっています。

このような中、就職戦線では、内定者の辞退が相次ぎ、他社へ流れてしまうという異常事態が発生しているようです。

例年以上に内定者の辞退者を出さないための対策が必要

経団連は今年、大学生の本筋である学業を優先させるため、また、政府の働きかけもあり、加盟企業に対して選考活動開始を4月1日から8月1日へ後ろ倒しするよう要請しました。これにより、経団連加盟の大手企業が内々定を出すのが8月1日以降になったため、既に内定を出していた中小・中堅企業の辞退者が増加していることも拍車をかけています。

つまり、今までであれば大手企業の内定を取れなかった学生が、中小・中堅企業へ進路変更したため、後から内定を出す中小・中堅企業の辞退者が少なかったのです。これがルール変更により、大手企業の内定が後になってしまったことで、より辞退者が増加するという結果を招きました。

こうした状況を考慮すれば、今年度は例年以上に内定者の辞退者を出さないための対策が必要となります。「こうすれば絶対に大丈夫」という特効薬はないものの、まずは経営者から内定者への期待をしっかり伝えることが大事です。入社後は、「○○のような事業展開をしていくので、是非そのお手伝いをしてほしい」「社会に対して○○のような貢献をしていきたいので、是非その能力を発揮してもらいたい」など、内定者へ熱いメッセージを伝えましょう。

オワハラは次年度以降のイメージダウンが避けられない

また、本人は納得しているものの「その業界は仕事がきつい」「そんな名前の通っていない企業なんて」など、両親からの意見で他社の選考を続ける学生も多いようです。両親に対しても、そのような不満や不安を解消するために企業の安定性、成長性、将来性、やりがいなどをしっかり伝えることも効果があるようです。

念のために申し上げるならば、内定者の辞退を出さないために他社の選考を辞退することを強要する、いわゆるオワハラは絶対にすべきではありません。人事部とすれば、何としても計画通りの人員を確保しなければ経営者から責められるため必死なのは分かりますが、長い目で見れば、次年度以降の評判につながりイメージダウンによる採用難、また、実際に入社した者のモチベーション低下による離職など、決してプラスになることはありません。

(影山 正伸/社会保険労務士)

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