Infoseek 楽天

年金だけじゃ生きられない?「下流老人」「老後破綻」の可能性

JIJICO 2015年10月10日 10時0分

年金だけじゃ暮らせない?

「老後破たん」や「下流老人」。さまざまな呼ばれ方をしているものの、つまり老後の生活が苦しいという実態は共通しています。先日も財務省が政府税制調査会(首相の諮問機関)に、高齢者の一人世帯で貯蓄高の二極化が進んでいるとの分析結果を発表しました。多くの人は「まだまだ先のことだから」と思っていても、気が付けば老後になっていた、なんていう危険もあります。なぜ、頑張って老後に備えるかというと、老後に生きていくことが難しい状況が、可能性として浮かび上がってくるためです。

例えば、生活保護の受給者が200万人いるというデータがあります。そのうち、高齢者が100万人。つまり、生活保護の受給者の50%は高齢者なのです。高齢で生活保護を受けている場合、保護が打ち切られることは考えられないでしょう。保護の理由は退職、収入減、介護などさまざまですが、現実として年齢が高い人が保護を受けていることです。

生活保護を受けるには、さまざまな条件をクリアした状態で申請を行う必要があります。簡単に言えば、資産が一定以上あれば申請できません。生活保護を受けたい場合は、資産を事前に処分することが求められます。例えば、自動車は都心であれば生活必需品ではないので、当然に処分(売却)。持家(自宅)はもちろん売却へ。解約返戻金が高額である保険商品は解約するなど、ギリギリの状態にならなければ保護対象として認められません。

日本の年金は今後、手取りの5割まで低下する

ところで、あなたは今の生活状況を把握していますか。家計はどのような状況でしょう。もし毎月貯蓄ができていないとしたら、あなたの老後は悲惨なものに可能性があります。将来の生活は、今の延長線上にあります。もし、年金が生活費の100%を負担するような仕組みであれば、今お金を貯める必要はありません。しかし、日本の年金は手取りの6割を支給する制度になっており、今後5割まで低下します。つまり、今の生活の半分の金額で生活を続ける必要があるということです。

家計相談で多いのは、支出をどうやって抑えるかなのですが、そこに落とし穴があります。例えば、住宅ローンは一般的に35年で組みますが、40歳の人が35年ローンを組めば完済時点で75歳です。給料も無いのに、どうやって支払っていくのでしょうか。そうした状況を考えれば、長めのローンを好む人は若いうちに家を買う必要があります。または、短期で住宅ローンを組みましょう。

今から財産の保全を考えることが重要

また、保険も家計に合っていないものになっています。例えば、終身払いになっていると、家計が破たんしているのに、一生保険料の支払い義務が生じます。多少金額が高くなっても気にせず、短期払いにしておきましょう。

最後に伝えておくことは、今からきちんと投資をしようという話です。投資先は何でも構いませんが、できれば金融商品として販売されているものがいいでしょう。万が一破たんした際にも、金融機関の取扱商品にはセーフティーネットがあります。つまり、財産の保全ができているのです。ですから、安心して今月から積立か積立投資を実施してください。その差は5年後、10年後に明らかになります。いずれにしても、「老後破たん」「下流老人」と呼ばれるような状態にならないように、今から注意しましょう。

(高橋 成壽/ファイナンシャルプランナー)

この記事の関連ニュース