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「ごくごく」や喉元アップ禁止、アルコールCM規制は過度な配慮!

JIJICO 2015年9月8日 18時0分

アルコールCMにおいての規制が強まる

日本人と酒との付き合いは古く、神様へのお供え物や人と人との絆を深める飲み物として育まれ、愛されてきました。長い間、酒との程良い付き合いを大切にし、生活に潤いを持たしてきたわけですが、今後の飲み方に異変が起こるかもしれません。アルコールのCMにおいて、「ごくごく」「ぐびぐび」などの強調や喉元のアップを使用することを規制するとともに、コマーシャルに登場する出演者を25歳以上に引き上げ、アルコール依存症や未成年者の飲酒等に配慮するとの方針が明らかになりました。

この決定を、素直に喜ぶことはできません。理由は、規制によって問題が根本的に解決するとは思えないからです。実効性があれば素晴らしいことですが、恐らく無意味でしょう。例えば、携帯電話使用禁止の車内放送を行っているにも関わらず、電車内での通話は後を絶ちません。「駐輪禁止」の立札を無視して留めてある自転車もしかりです。

自らの責任であり、企業が配慮する必要はない

確かに、アルコール依存症の実態には飲酒運転、暴力、健康障害等深刻なものがあり、国がアルコール健康障害対策基本法を策定し、対策を推進しているのも頷けます。今回の規制はあたかもこれに協力しているようにも見えますが、この理屈が通れば、糖尿病で苦しむ人への食べ物の宣伝規制も必要になるなど、挙げればきりがありません。表現の自由も危うくなります。

「アルコール飲料を飲む、飲まない」「どのような飲み方をするか」は当事者の自由意思により決められるものです。そして、そのような選択をした結果についても、当然当事者に委ねられます。つまり、自らの判断で「ぐびぐび」とビールを飲んで体に障害をきたしても、それは自らの責任であって、敢えて企業が注意することではないように思います。

相応しい飲み方の宣伝は、むしろ必要

アルコール飲料メーカーも、自社で製造した飲み物は消費者に、より美味しく飲んでもらいたいと願う気持ちが強いのではないでしょうか。であれば、それに相応しい飲み方の宣伝は、むしろ必要だと考えられます。特に日本語は感情や状態等音がしないものを言葉に置き換えた「擬態語」や「擬声語」が特徴の一つであり、世界に誇れる文化です。

世界が注目している日本の「思いやりの心」「おもてなしの心」などと共に、日本を訪れた外国人にも積極的に発信し、日本の素晴らしさを実感してもらいたいと思います。

求められるのは過保護や配慮ではなく力強く生きていく指針

現在、地球上には190余りの国や地域が存在しますが、日本ほど恵まれた国は無いと思います。四季の美しさ、平和と物の豊かさ、治安の良さ、長寿、教育水準の高さなどですが、このような環境で育った日本の若者は優秀です。「最近の若者は・・・。」と言って問題点ばかりに視線を向け、不必要に過保護になるのは感心しません。

必要以上に保護を与えれば健全な成長を阻害し、結果的には不幸な道を歩むことにもなりかねません。まして日本は今、世界が経験したことのない超高齢社会に直面しており、若者が高齢者を力強く支えて行かなければならない国です。加えて、国際化にも果敢に立ち向かっていかなければなりません。必要なことは、過保護や配慮ではなく力強く生きていく指針です。

最後に「酒に害はない、泥酔する人に罪がある」とフランクリンは述べています。百薬の長にするか、万病のもとにするか、は本人次第です。アルコールについての正しい知識を有し、適量の飲酒や休肝日等を心掛け、楽しく酒と付き合いたいものです。

(平松 幹夫/マナー講師)

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