出版のみならずサイトを開設した元少年A
かつて別名「酒鬼薔薇事件」とも呼ばれ、2名が死亡し、3名が重軽傷を負った、日本を恐怖で震撼させた神戸連続児童殺傷事件の加害者男性(以下、元少年A)が、出所後に殺人事件について詳しい描写を書いた手記を出版したことは、最近、話題となりました。
しかも、その出版は被害者家族に対して何の配慮もなく、一方的に出版されました。わが子を殺害された父親の土師守さんは、手記の回収を求め「精神的苦痛は甚だしく、改めて重篤な二次被害を被る結果となっている」と訴えました。
そのような騒動も記憶に新しい中で元少年Aはホームページを開設し、自己を表現する場にしています。鍛え上げた身体の筋肉美を写真で載せたり、異形のイラストや、ナメクジを使ったグロテスクな写真などを掲載しています。こういった行動から何が考えられるでしょうか?
性的興奮につながる快楽殺人は治りにくい
少年法という疑問を感じる法律によって、猟奇的な殺人犯であっても、数年の刑期を終えれば出てこれてしまいます。それは、埼玉県で起きた「女子高生コンクリート詰め殺人事件」でも同様の違和感を抱いた人は、少なくないのではないでしょうか。
反省して出てきたのならば、手記の出版などしませんし、ホームページで自己表現などしないでしょう。元少年Aの事件は、強い怨恨に根差しているわけでも、ストレスによる自暴自棄な破滅的行動でもありません。殺人と性的興奮がつながった快楽殺人です。感情ではなく、性的嗜好に根差したものは治りにくいのです。
自分を露出したがるナルシスト
スポーツジムで、ムキムキの筋肉をピチピチのタンクトップで披露している人を見かけることがありますよね。同様かどうかは人によるでしょうが、ナルシスト的な印象を受けることもあります。
・自分の美意識に酔いしれている
・自分を美化している
・自己主張が強い
もうひとつは、「自己憐憫(れんびん)」的な感じなのかもしれません。ホームページでは「存在の絶えられない透明さ」などと表示し、「自分の感覚は誰にも理解できない、でも自分はこんな世界観で生きているんだ。見て見て、理解できないでしょ。孤独な僕」といっているようにも感じます。
殺人犯も一般人も関係なく、自己憐憫をかざす人は、自分の不幸な世界を維持してしまう傾向にあるのです。
(青柳 雅也/心理カウンセラー)