酒好きの人にとって忌まわしい頭痛の原因
今年のワインのできを占う意味でも大変興味深い2015年のボジョレーヌーボーの解禁日は、11月19日の木曜日。そして、日本酒は「生詰」された「冷おろし」という秋の旬酒の時期です。秋の味覚と美味いお酒が目の前にあり、ついつい飲みすぎてしまう魅惑的な季節がやって来ました。
さて、昔から「酒呑み」にとって悩みの一つに飲酒による忌まわしい「頭痛」があります。本来、「頭痛」というものは体に害のある物が入ってきた時に起こる警告サインです。つまり、何かしら飲み手が体内に摂取したものの中で体質に合わないものが入り込んだ時、生成された時の現象の一つです。ワインを飲むと必ずひどい頭痛にやられるという人を耳にしますが、日本酒がダメ、ビールがダメなど、アルコールの種類は人によってさまざまです。
「脱水」による頭痛も見逃せない要因
「二日酔い」の最大の原因は、簡単に言えばただの「飲み過ぎ」です。本来、弥生系日本人は二種類ある「アルコール分解酵素」のうちの8割を占める「アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)」を持っていません。アルコールを摂取すると、毒性の高い「アセトアルデヒド」が生成されます。それを分解する酵素力が、もともと弱いのです。
また、「脱水」による頭痛も見逃せません。アルコールを摂取すると大量の水分が体から抜けて出ていきます。すると、血管が収縮してアセトアルデヒドが血管を拡張させ、耐え難い頭痛に見舞われるわけです。重要なのはハードリカーでいうところの「チェイサー」、日本酒では「和らぎ水」と言われますが、水を飲みながらお酒を飲むことです。
ワインを飲むことで起こる頭痛には添加物へのアレルギー反応も
しかし、ワインを飲むことで起こる頭痛には、別の理由もあります。それが、添加物に対するアレルギー反応です。ほとんどのワインには「酸化防止剤」が注入されています。この「亜硫酸塩」に対する体のアレルギー拒否反応が、頭痛を引き起こす原因の一つとされます。また、ワインに含まれる「アミン」のアレルギーも考えられます。
注入されているのにも理由があり、基準値以内の「亜硫酸塩」を添加することで品質が維持されるため、商業的には仕方がないことかもしれません。また、昨日今日この酸化防止剤の注入が始まったわけではありません。それでも、「酒」はすべて趣向品。個人個人のレベルで種々選択することは可能です。ワインであれば「オーガニックワイン」や「無添加ワイン」を選ぶことで、アレルギーによる頭痛を排除することができます。日本酒でいうところの頭痛も不揮発性の添加物、例えば安酒によく使われる「糖類」などの入らないものを選ぶことで、頭痛の確率を大きく下げることができます。
体質に合ったお酒の量、そして水を飲むことを心がける
ちなみに「醸造用アルコール」は「頭痛」の最大の原因ではありません。「エチルアルコール」のみで造られる単なる「甲類焼酎」で、「ドライ感やすっきり感が増す」「香立ちが良くなる」「保存性が高まる」などの効能があります。「アル添酒」が二日酔いになりやすいのは、原酒をアルコールで薄めることで味気なくなるため、その味を調えるために糖類を加え、うま味成分を足しているためです。そこに、原因があるのです。
ボトルの裏のラベルにある原料成分を読むと、添加物が表記されています。また、玄米の表面にある黒い「糠」にも「二日酔い」に関わる成分があるといわれています。それらは、精米歩合率が高い日本酒を選ぶことで回避することができます。せっかくの「ハレ」のお酒で翌日、痛い目に遭うのはとてもつらいこと。個人個人の体質に合ったお酒の量、そして水を飲むことを心がけ、楽しい人生の思い出になればと思います。
(鎌田 孝/利酒師)