日本の小学校で行われている「特活」に注目が集まる
10月13日、「特活」に力を入れる東京都八王子市の市立弐分方(にぶかた)小学校(児童430人)に、エジプト政府の高官ら7人が視察に訪れました。特活とは、給食や掃除、学級会やクラブ活動などのことで、運動会などの学校行事も含まれます。
特活の特徴は、先生が教えないことです。子どもたちが自分たちで考えて活動する時間で、小学校によっては1日2~3時間に及ぶこともあるそうです。同校では特活に力を入れたところ、学力向上やいじめ防止などの効果があったそうです。視察に訪れたエジプトでは、教育は知識を教えることが中心で特活はなく、各国の教育制度を調査した結果、日本の特活に注目。エジプトで日本型教育を採り入れた学校を、約100校つくる構想があるそうです。
教育の伝達方法に根本的な進化が起こっている
視察団を招いた国際協力機構によると、特活が日本の礼儀正しさなどを育てたものと受け止められ、日本型教育の視察に来る海外の教育関係者は年々増え続けているとのこと。特活を含め、日本独自の教育に海外から関心が集まっていることを背景に、文部科学省は日本型の教育を発展途上国に「輸出」する仕組みの準備をしているそうです。
戦後、日本産業の驚異的な発展の礎を築いたものは人です。人の教育水準と文化的水準、さらに経済力は比例します。中東、アジア、アフリカなど発展途上国にとっては、日本型教育を見習いたいと考えるのは自然な流れでしょう。また、特活を取り入れることが、容易になり始めた時代背景もあるのでしょう。紙と鉛筆の時代なら難しかったことでも、インターネットやパソコンの普及により教育の伝達方法に根本的な進化が起きています。
「特活」の教育輸出を意義あるものにするには
さらに、それだけではなく、日本人古来の「茶道、華道」などの礼儀作法、思いやり、おもてなしの心を育む日本人の教育スタイルがインターネットによって情報が拡散され、これら発展途上国の教育者の目に留まってきたのでしょう。
教育の最前線は家庭にあります。教育を変えるためには親の経済力、考え方から始めなければなりません。経済格差をなくし、国力をつける手段としてまず、人を育てる教育に着手することは常套手段です。特活に代表される「受け身ではなく、自ら考え、活動する」教育の考え方は、新しい時代の創造力を高めていきます。これら日本型教育方法を模範にされることで、将来日本が発展途上国に対して、リーダーシップを発揮できる優位性が生まれれば、この教育の輸出も意義のあるものになるのでしょう。
(田中 正徳/次世代教育プランナー)