妻は夫よりも愛情が薄く、年数を重ねていくごとに加速
人は出会って恋をして、永遠の愛を誓い、結婚をします。ある意味、結婚が恋愛の成就でありゴールですが、残念ながらその愛はそう長くは続きません。少し古いデータにはなりますが、ブライダル総研による「夫婦関係調査2011」では、夫を愛していると感じている妻は65%で、結婚11~20年になると53.4%まで減少し、総じてどの年代も妻は夫よりも愛情が薄く、年数を重ねていくごとに減少するようです。
その原因を調べた「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」では、妻たちが感じている夫への不満として、「1位:日頃の感謝がない」「2位:夫婦の会話がない」「3位:家事の非協力」を挙げられています。3位については共働きの夫婦が増えているという背景が一因として考えられますが、家事協力ができない夫との生活は疲弊していくという実証でもあります。ただ、夫の年収が下がれば下がるほど、夫に対して不満を抱えるとも言われているので(※相談LINE調べ)、共働きが不可欠だとすれば、経済的問題が大きいほど不満は増加すると同時に家事協力も必至になり、それが果たせなければ愛情は失せてしまいます。
妻は40代を超えると離婚願望が減少
しかし、愛がなくなったからといって即離婚を考えるほど短絡的ではなく、子供や住宅ローンを抱えるにつれて責任が生じてきます。特に妻が40代を超えると、離婚願望が減少するというのもその表れで、愛がなくなっても今後の人生を考えれば夫と一緒にいる方が、まだましという決断でしょう。
しかし、「ましだから」と言われる夫にも同情の余地はありますが、夫は夫で家庭を守るには「仕事を一生懸命にする」という回答が多く、妻との意識の乖離は大きい傾向にあります。また、妻は夫に家事を手伝ってもらえば本当に不満は解消するのかというと、そうでもなさそうです。妻は夫婦そろって何かできなくても、互いの趣味の話をしたり、夫の興味のある物の話を聞いたりしたいというのです。夫と一緒に出かけるよりも、妻が女友達と出かけるのを快く送り出してくれたり、洗濯物を妻が畳んでいる時に横で話し相手になってくれることでもいいと訴えます。
本当の問題は夫婦の関係性にある
つまり、ここでも不満の1位2位にあったようにコミュニケーションを望み、妻を理解して欲しいと言うことなのです。ここで妻が日頃感じているのは、「孤独」だということが分かります。よくよく話を聞くと、別に疲れて帰ってきた夫に妻は家事をさせようとは思っていません。きちっと家事を分担し、家の中がスッキリ片付いていることよりも、互いに「忙しいからね」と意識と思いやりを共有したいのです。
家事協力に限ってお伝えすれば、個人的な経験の中でも夫に家事を手伝ってほしいと望む妻ほど、家事が苦手なタイプが多いと感じます。夫に手伝ってと頼むより、自分がやった方が早いというタイプの妻は、夫に対して不満を溜め込みません。
家事のことを一生懸命に考えている人は真面目だと考えられがちですが、適当に家事をこなす妻の方が生き方は器用なのです。反面、苦手意識を持っている妻ほど、夫と協力してやりたいとルールを作りますが、本当の問題は夫婦の関係性にあります。また、妻の家事に対しての苦手意識というコンプレックスも関係しています。
本当の意味で離婚を意識する必要のない生活
そのため、本当に家事が苦手なのは夫以上に妻なのですが、それを夫の家族愛や責任感とすり替え、その結果、役割分担したのに助けて貰えないことに不満を募らせます。家事ができないのは夫同様、妻も同じです。それを夫に感じ取られるのを嫌い、先回りで夫と家事分担をします。その結果、夫に不満を持ち、責任感を問いただすのです。
これは「攻撃は最大の防御なり」のような無意識のガードです。防御とはある意味、信頼関係の薄さを表します。共に白髪まで仲良く過ごしたという老年の夫婦を見てきましたが、その秘訣は妻の甘え上手と感じます。苦手部分を表に出せば、相手の苦手な部分も認めることができます。
女性であれば家事が得意ということではありませんが、それと同じくらいに家事ができる男性は多くありません。自分が苦手なことは相手も苦手と考えるくらいの気持ちを持ちましょう。我慢して離婚しないのではなく、本当の意味で離婚を意識する必要のない生活。こんな暮らしができるなら、家が少々散らかっていても素敵な夫婦だと思います。
(村越 真里子/夫婦問題カウンセラー)