カップル専用アプリ流行
Facebook、Twitter、LINE、vineなど、若者の生活アイテムの中にSNSは既に欠かせないほどのものになっています。大多数の人がスマートフォンを使い、アプリはさまざまな種類が出回っています。
そんな中、10代や20代を中心に、カップル専用アプリというものが流行しています。アプリを通して2人だけの特別なコミュニケーションを取ることができる機能を備えていて、最もダウンロード数が多いアプリに至っては、10代~20代の恋人がいる男女の約4人に1人はダウンロードしているというほどです。
ダウンロードした後、互いに承認し、トップ画面を2人の写真にできたり、付き合い始めからの日数が表示されたり、カレンダー、アルバム、メッセージ、互いへのQ&Aなどを共有できたりします。今までのSNSでも十分な気がしますが、なぜ敢えて閉鎖的なコミュニケーションアプリを使うのでしょうか。
あふれる情報とSNS疲れ
「既読スルー」なんて言葉もありますが、そもそもオンラインのコミュニケーションは、リアルタイムに反応するためのものではなかったはずです。ところが、早く返事をしなければ、常に反応しなければという気持ちに疲れてしまうという人も少なくありません。反応を待つ側も、反応を返す側もそのスピード感に疲れているのかもしれません。
また、他の人の様子と「比較」をしてしまうことで、「みんな楽しそう、私も楽しそうな投稿をしなきゃ」などと焦りを感じてしまう人もいます。SNSは待ったなしのスピード感と情報量で、どこにいてもつながっていることが、メリットでもありデメリットにもなっているのです。現在、どこもかしこもスマホとにらめっこの姿が象徴しています。だからこそ、2人だけの閉鎖的な場というものが、特別感を増すのかもしれません。
「電波きずな」という幻想
今の社会は、時間のない人たちであふれています。むしろ、スケジュール帳が埋まっていなければ不安に思う人がいるかもしれません。最近、映画になった「星の王子さま」に出てくるキツネが言います。「人間たちには何かを知るための時間がないんだ。<略>友達は店に売っていないから、彼らにはもう友達がいないんだよ」と。
現代の人たちも映画やドラマ、漫画、スポーツなどで「絆」というものに感動します。貴重で大切なものだからです。モノでも新しいものをどんどん買い替えたとしても、唯一無二の大切さは生まれません。「関係価値」というものには、「時間」が必要なのです。「電波きずな」というものでつながらないと不安だという現代人の心は、つながっていながらもつながっていない寂しさを感じているのかもしれません。
(青柳 雅也/心理カウンセラー)