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犯罪者心理を読み取れ!年末に増加する空き巣被害の防止策

JIJICO 2015年12月30日 18時0分

年末に空き巣被害が増えるのは風習が原因?

何かと忙しくなる年末へ向けた季節ですが、泥棒も忙しくなる季節であることにお気付きください。仕事は違えど、日常生活における風習は私たちと同じです。年末は「年納め」「総決算」などの言葉通り、締めくくりを意識する季節です。仕事では連日の残業、同僚・知人の間ではクリスマスパーティーや忘年会が催され、家庭でも新年に向けた買い物など後始末と準備に忙しくなります。特に12月は「師走(師も走る忙しい月)」と呼び、古来より続く風習です。忙しくなる季節には、自ずと留守宅が増えます。つまり、空き巣にとってもチャンスが増えるということです。

そして、準備に欠かせないのが現金です。忙しい中、混雑した銀行に行く時間がもったいないと考える人も多いはずです。効率を考え、事前に準備する現金は空き巣にとってターゲットそのものです。つまり、空き巣は自分の日常生活を基にチャンスを逃さず、ターゲットを定め、総決算の如く犯行に勤しむので、年末に空き巣が増えるのは必然と言っても過言ではないでしょう。

空き巣の嫌がることが有効な防犯対策

空き巣被害を防ぐ一般的な防犯対策には、窓やドア・鍵などの強化が挙げられます。しかし、この対策は空き巣が窓やドアの前にいることが前提の対策と考えてよいでしょう。空き巣も「衣・食・住」を維持するために必死なため、生半可な強化では効力を発揮しません。もし、このような対策を考えているならば、信用できるプロに任せることが無駄遣いを減らす唯一の手段になります。

さて、空き巣が最も嫌がることは何でしょうか。それは「捕まる」ことで、チャンスとターゲットが増えても変わらない意識です。つまり、我が家をチャンスと感じさせない工夫が、空き巣が近づかない防犯対策になります。空き巣は「捕まりたくない」一心で慎重にチャンスを選びます。この時点で「捕まる」を意識させることができれば、被害に遭うことはありません。

では、どのようなことが「捕まる」につながるのでしょうか。それは、第三者による通報や証言です。警視庁が行った「空き巣(検挙者)の意識調査」でも、それは如実に表れています。空き巣が犯行を諦めた理由は「近隣住民にジロジロ見られたから」「侵入に手間取りそう、手間取ったから(概ね5分以上)」が多く、犯行に及んだ理由は「逃げやすい立地だった」「隠れる場所があった」でした。全てが見つかる(=捕まる)危険を避けるための理由です。

我が家だけでは不完全な防犯対策

それでは、具体的に空き巣が近づかない防犯対策を紹介します。まずは、自分の家だけでできる簡単な工夫です。植栽を剪定し、見通しを良くします。門扉があるなら、必ず閉める習慣を付けてください。ガーデニングの趣味があれば、人に見せることを意識しましょう。また、建物の周りに不要な物は置かず、置かなければならない時は窓の下や柱周辺を避けて美観を意識します。もちろん、吸い殻や空き缶・ペットボトルなど自然界にないゴミはすぐに片づけましょう。このような工夫は管理を意味しており、その管理を破ることは窓ガラスを割ることよりプレッシャーを感じるものです。

次に、近所との協力で行う工夫です。時間が合う時には、家の外で世間話をしてください。俗に言う「井戸端会議」です。また、ゴミの収集日を守り、収集後には清潔を保ちます。自分の家からゴミ集積所までの道を清掃すれば、効果はより高くなります。

整理整頓や清掃は管理を意味し、互いへの興味は自然な監視を生み出します。自然な監視とは、何気なく目に入る程度のもので、見張ることを意味しているわけではありません。このような工夫は犯罪者にプレッシャーを与え、見つかる危険を知らせる環境です。可能な限り、自分の家だけというピンポイントではなく、年末という後始末に乗じて近所と協力し合い、空き巣が嫌がる環境を広めて下さい。広めれば広めるほど、安心は増していきます。

(神田 正範/防犯・防災コンサルタント)

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