通知カードは全体の1割しか届かず
来年1月からスタートするマイナンバー制度。10月5日より順次発送するとされている個人宛の「通知カード」ですが、いまだに手元に届いていない人も多いと思います。私の通知カードも先週、ようやく手元に届きました。日本郵便の公表(11月12日現在)でも、マイナンバーを記載した「通知カード」は全体の1割しか家庭に届いていないことを明らかにしています。
この通知カードの送付遅れは、実際にマイナンバーの取り扱いをしなければならない企業へ、どのような影響を与えるのでしょうか。
来年1月からすぐに必要というわけではないものの…
今回、多くの企業では今年の年末調整時にマイナンバー情報も一緒に収集する予定としていましが、11月に入っても通知カードが手元に届いていない社員が多かったことから、年末調整書類とは別個に、マイナンバー情報を収集する動きに変わってきています。具体的には、来年1月以降にあらためてマイナンバー情報のみ収集する案が検討されています。
ただ、実際にマイナンバーを利用する場面は限られており、雇用保険手続きでは当分の間未記入でも手続きは可能とされていますし、社会保険手続きは元々、平成29年1月よりマイナンバー利用開始を予定しているため、来年1月の段階ですぐに必要になるというわけではありません。
送付が遅れていてもいずれはスタートする
そうはいっても、平成28年の年末調整時までにはマイナンバー情報を取得する必要があります。この間に退職した社員のマイナンバー情報も収集しておかなければいけないため、いずれにしろ、来年1月以降にマイナンバー情報の取得を行うべきといえるでしょう。また、社員だけではなくパート・アルバイト・契約社員など、どんな雇用形態であってもマイナンバー取得が必要になるため、パート・アルバイトを多く採用している企業では、今からでもマイナンバー収集方法を検討してください。
マイナンバーは、雇用されている社員以外に個人事業主からも収集する必要があります。社員とは異なり外部の人でもあり、マイナンバー提出に非協力的な人が出てくる可能性もあるため、情報の取得理由をよく説明し、事前に協力を仰ぎ、スムーズな情報収集ができるように準備を進めておく必要がありそうです。大企業・中堅企業では、マイナンバー取得や利用・管理に対する安全管理措置も進んでいますが、中小企業では、まだまだ対応が進んでいません。そして、ここにきてマイナンバー通知カードの送付遅れにより、さらに中小企業のマイナンバー取り扱いに対する意識が薄らいできているように感じます。
マイナンバー通知カードの送付が遅れているとはいえ、いずれにしろマイナンバー制度はスタートします。いざスタートした時に管理体制等の取り扱いに不備がないよう、制度の理解や自社の取り扱い方法など、今から準備だけは進めておくべきといえるでしょう。
(成澤 紀美/社会保険労務士)