日照不足が原因となる「冬季鬱病」とは
近年、次々に新しい「鬱病(うつびょう)」が出て話題になりますが、中でも冬季に限って鬱の症状が表れる「冬季鬱病」というものがあるそうです。鬱病というと一般的には心因性(精神的な心の問題)によって発症するものだと考えられますが、この冬季鬱病に関して原因は明らかで、冬場の日の短さ、つまり日照不足が主な原因だといわれています。そこに心因性の要因が加わることによって発症するのが、冬季鬱病の特徴です。
鬱病発症の多くは心因性によるものだと考えられていますが、実は冬季鬱病に限らず、自律神経の乱れや体調不良による身体的な要因から鬱病が発症すると考えた方が自然です。冬季鬱病に関しては女性に多く発症するとされていますが、女性は生理や出産などでホルモンバランスが乱れやすく、更年期などの症状で情緒的にも非常に不安定な状態に置かれ、ここに心理的な問題が加わることで鬱病が発症しやすくなります。
鬱病そのものはやはり身体的な要因で発症するもの
また、日光には生活リズムを整える効果があり、自律神経やホルモンバランスを調整するのに欠かせない必要な要素です。そのため、冬場の日照不足は冬季鬱病発症の明らかな原因となるわけです。冬季鬱病は日照不足が主な原因ですが、鬱病そのものはやはり身体的な要因で発症するものです。心と体の両方のバランスが崩れることで鬱病になると考えれば、決して個人の性格や心の問題だけが原因で鬱病になるのではないことが理解できると思います。
では、どのように対処すれば良いのでしょうか。まず、日照不足が明らかな原因であるため、なるべく日中に沢山の日光を浴びることが対策として有効です。加えて自律神経が乱れることで鬱病発症に繋がるため、毎日規則正しい生活リズムを心がけ、ホルモンバランスが調整される睡眠を十分に取るようにして、夜更かしせずに早めの就寝を心がけてください。
早めに就寝することが冬季鬱病予防の大きな対策
また、運動やスポーツなど身体を動かすことでも心身の活性化につながります。女性であれば気の合う仲間同士で会話に興じるなど、精神面を充実させることも重要です。寒いとどうしてもあまり動かなくなり、手軽に幸福感を味わえる「食べること」だけが増えてしまい、ダイエットの心配や罪悪感から心の健康を損なう恐れもあります。食べても体を動かすなど、非活動的にならないように気を付けながら、日の当たらない夜は早めに就寝することが冬季鬱病予防の大きな対策となります。
今後、どのような新しい鬱病が出てきても、従来のうつ病予防と同じように心身面での充実を図ることがあらゆる対策になることは言うまでもありません。鬱病は個人の性格の問題ではなく、やはり心身の不調から来る病気だと認識することが、病気への理解の第一歩になります。周りの人間にできる鬱病患者への支えにもなるため、これを機に少しでも鬱病に対する理解と支援の輪が広がっていくことを願います。
(宮本 章太郎/心理カウンセラー)