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お腹も冷えやすい「冬」は「ゆるハラ」に要注意!

JIJICO 2015年12月24日 19時0分

冬は男女ともにお腹への負担を感じやすい季節

冷たいものを飲んだり食べたりすることが多い「夏」だけでなく、気温が低下し、外出や外食の機会が増える「冬」も、お腹がゆるくなってしまうトラブル「ゆるハラ」に注意すべき季節です。

しかし、軟便や下痢になる原因については、男女間での差が見られるようです。男性はやはり「お酒の飲み過ぎ」を挙げる人が多く、一方の女性は特に10代から40代の半数程度が「(気温による)冷え」を挙げています。女性の場合は年齢を問わず、「冷え」を冬のお腹の天敵と考える人が多いことがわかります。空気が冷え込み、イベントでお酒や食事を楽しむ機会も増える冬は、男女ともにお腹への負担を感じやすいといえそうです。

冬はノロウイルスなどによる急性胃腸炎が多発する時期

ただの軟便や軽度の下痢症状が数日程度続く程度であればそれほど心配はありませんが、排便時に血液の混入がある時には十分な注意が必要です。下痢症状が何回も続いた後にお尻を拭いた際に少量の血液が付く程度ならさほど問題になりませんが、出血症状が続く場合や強い腹痛を伴う場合などには大腸粘膜への血流の障害に伴う虚血性腸炎や大腸がんの可能性なども否定できません。その場合、医療機関への受診を考慮すべき状況と考えられます。

さらに、冬はノロウイルスなどによる急性胃腸炎が多発する時期です。ノロウイルスは手指や食品などを介して経口で感染し、ヒトの腸管内で増殖し、下痢や嘔気・嘔吐などを引き起こします。通常は下痢や嘔吐もそれほどは酷くならず、3~4日程度で快復することが多いのですが、腹痛や発熱なども伴い、下痢や嘔吐が頻回となると食事摂取もできず、脱水状態が進行してしまい重症化することもあります。水分の摂取が可能であればさほど問題はありませんが、口の渇きがひどくなり、倦怠感などが生じる際には脱水状態が進行している兆候ですので、早急に医療機関を受診しましょう。

暖冬でも今後、急激な寒暖の差に順応が遅れることも予想される

ノロウイルスについては現在開発中ではありますが、ワクチンが存在しません。治療は基本的には下痢止めなどは使用せず、整腸剤や腸管機能改善薬・漢方薬等を投与し、水分摂取が困難な際には輸液による水分補給などの対症療法が主となります。

今シーズンはエルニーニョ現象などの影響で通常の時期より気温も比較的高く、インフルエンザもここ5年来で一番流行開始が遅れている模様です。今後、年末年始に向けて気温の急激な低下も否定できないため、逆に暖かい気候に慣れていることによって急激な寒暖の差に体が順応できにくくなることなども予想されます。これからの本格的な冬の到来に向け、益々の健康管理が必要と考えられます。

(佐藤 浩明/消化器内科専門医)

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