「わんわんパトロール」はどうして生まれた?
今の時代、子供たちを狙った悪質な犯罪が後を絶たず、子供たちを遊びに行かせることにも不安を覚えるご家庭も多いのではないかと思います。 そんな中、和歌山県では、紀ノ川市で小学5年生の森田都史君(当時11歳)が、同市の無職中村桜洲被告に胸を刺されるなどして殺害された事件を受け、犬のお散歩をしながら地域の子供達を見守ろうという「わんわんパトロール」という活動が広がっているようです。 これは、事件の起きる前から中村被告の不審な行動が地域で目撃されていたにもかかわらず、情報が警察や学校には届いていなかったことを知った発案者の和歌山市立福島小学校育友会の会長を務める吉増江梨子さんが、「住民間で不審者情報を知らせ合うことが必要」と感じ、昨夏に愛犬の雑種「もか吉」と近所の“愛犬家”たちとともにパトロールを開始したものです。その活動は広がり、これまでに約80匹が「パトロール犬」に登録し、登録希望者はさらに増加しているということです。
毎日の愛犬のお散歩が防犯につながる
不審者にとって一番嫌なものは「ご近所の目」です。 空き巣などの犯罪を防ぐにも、ご近所の方が不審な人にさりげなく声をかけたり、見ているということが有効だと言われています。 もはや警察のパトロールだけでは地域の安全は守れません。住民一人一人が声を掛けあい、子供達やお年寄りを見守る、昔ながらの関係が必要ではないかと思います。 とはいえ、現代の人達にとってご近所づきあいもいきなりはハードルの高いもの。でも毎日何気なくする愛犬のお散歩の時に少し意識して地域の人達と声を掛けあうのならできるのではないでしょうか。私も愛犬のセシルを迎え散歩をするようになってから、地域の人達とたくさん顔見知りになれました。 またそのような地域一体となったパトロール活動をしていることがわかれば、不審者も近づきにくくなるのだろうと思います。
広がりをみせる、地域の安全を守る「わんわんパトロール」
「わんわんパトロール」は登録制になっており、愛犬のリードに「子ども見守り中」などと記された反射材で作られたタグを付けてお散歩し、不審者・不審車両・危険な違法駐車等を見つけた場合は、ただちに110番通報して犯罪の防止を目指しています。 パトロール犬になるために特別な訓練は必要ありませんが、お散歩中色々な刺激に過剰に反応しない社会性を身につけさせることや、いざという時に飼い主の制止や指示が聞けるなど、家庭犬としてごく当たり前のマナーは身につけておく必要はあるでしょう。 またパトロール隊に参加しなくても、お散歩中や何気なく近所を歩いている時にも少し意識して地域の事を見ているだけでも良いと思います。 地域の安全は地域のみんなで、それぞれができる方法で守る。そのためにも「わんわんパトロール」はとても良い取り組みだと思います。
(洲崎 ゆかり/ドッグトレーナー)