花粉症とは
花粉症は、スギやひのきなどの花粉によって生じるアレルギー反応で、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが生じるアレルギー性鼻炎と、目のかゆみ、充血が生じるアレルギー性結膜炎が起こります。症状が起こるタイミングはひとによってまちまちで、花粉症の飛び始めから起こる方や、花粉が大量になってから起こる方もみえます。花粉症の症状が強くなると、勉強・仕事・家事などに支障をきたしたり、集中力が保てなくなったり、睡眠障害がおこったりします。花粉症の原因の約70%は2月中旬から4月中旬まで花粉をまくスギが原因と言われています。
子どもの花粉症は増えている
最近、花粉症の若年化が顕著です。平均12歳の子どもに対するアンケートでは、16%に花粉症を認めています(厚生労働省ホームページ)。幼児園時にも、花粉症がみられるようになってきました。スギの花粉が、アスファルトの道路では地面に吸収されず、さらに排気ガスの影響で、アレルギー反応を起こしやすいスギ花粉になっている可能性が示唆されています。また、大気汚染物質であるPM2.5や排気ガスなどの影響も関係しているかもしれません。
子どもの花粉症の治療
基本は抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の内服・点鼻・点眼が中心となります。症状が強いときは抗ロイコトリエン薬というアレルギー反応を抑える薬も追加されます。鼻詰まりの症状が強いときには、ステロイドの点鼻薬が使われることもあります。これらのような、症状を予防・治療する薬剤に加え、近い将来アレルギーに対する舌下免疫療法という、花粉症の根治療法が子供にも適応される見通しです。
生活習慣では、マスク、メガネが有効です。マスクは鼻腔にはいる花粉の量を約1/3にし、メガネは眼球に着く花粉の量を1/2にします。花粉がたくさん飛んでいるときは、外出を控えることが望ましいですが、少なくともマスクを着用しましょう。また、セーターのようなけば立った服装によって、家の中に花粉を連れてくることがあります。家に帰ったら、手洗い、うがいに加え、洗顔もすると予防効果はあります。保護者の方にお願いしたいのは、こまめな掃除機による掃除、洗濯ものの室内干しにより、室内に花粉を持ち込まないようにすることです。
花粉症があると、お子さんの集中力低下に伴う学力低下も気になります。スギ花粉を疑ったら、早目に治療しましょう。
(大西 勝也/内科医)