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日本式「横並び就職活動」は是か非か?

JIJICO 2016年4月6日 11時0分

企業にとって便利な横並び就活

念のために日本式の横並び就活とは、学生が大学等を卒業する日までに就職先を決定するよう、日本全国で一斉に始まる就職活動の一連のながれのことです。
ただこれは応募する学生の側が作っているながれでなく、採用する企業側の都合により出来上がったながれですから、本当ならば「横並び就職活動」と言うよりも、「横並び採用活動」と呼ぶのが妥当ではないかと思います。

まだ何の知識もスキルもない若者を、自社のカラーで染め上げつつ、将来は自社の中核を担うべき人材として一から育てる・・・「就職」ではなく「就社」が実情であり、新卒で入社してから定年退職まで1社に勤め上げることが前提であった、そんな古き良き時代の制度が、「横並び一斉採用」だったのではないでしょうか。

若者を一斉に採用して、一斉に教育し、その後の配属先を会社の側で決定するならば、固定化した社内の人事評価制度にのせて人材を運用しやすくなります。
いわば企業側の勝手な都合で出来上がった現在の就活の形ですから、応募する側からは、もっと自由に、自分で計画を立てて進める就活をしようとする人々が出てきています。

即戦力が求められる海外での就職は、日本の大学生には高い難易度

新卒時の一斉採用のスケジュールにしばられず、自分の考えで就活をしようとする人たちは、やはりどうしても海外での就職をめざすことになるようです。
すると必然的に「即戦力」でなければ、面接にも呼んでもらえません。

海外では、知識も経験もない人を自社で育てるという考え方がない企業がほとんどです。
そもそも求人情報を集めるところから、日本のように就活支援サイトがあるわけでもないので、自力で情報収集をすることになります。
それには幅広い人脈をつくることが必要になります。
一般的な日本の大学生には、とてもハードルが高く感じられるのではないでしょうか。

高校生の時から自分の職業選択を意識して、身に付ける能力の目標を定め、その目標に従って進路を選び、専門知識を学びながら、企業で長期間のインターンシップを経験して、ついでに人脈もつくる・・・学生時代を通じてそのような行動を積み上げてきた人は、海外であっても日本でも、目指す職業で自由な就活が可能になります。

しかしそんなバリバリした学生生活ではなく、日本式にのんびりと「最後の自由」を楽しんでいる学生は、日本式の「横並び就活」がありがたいと思うでしょう。

会社に依存しない生き方を選択するなら欧米式を目指すべき

自分のめざす職業と、そのための教育を10代で選択し、学生の間に実務経験まで積んだ上で企業に自分を売り込む、欧米式の就活。
20才までゆっくりと一般教養を身につけて、素直な人柄と真面目な働き手としての素質を買ってもらう、日本式の就活。

どちらが良いかは一概に言えませんが、自分の人生設計を会社に依存せず、自己責任は大きくなるが、その分自由度も上がる生き方を望む人は、欧米式に、大学を選ぶ時から職業を考えることが必須です。
目的意識をもって大学で学ぶ人は、日本でも海外ででも、高く評価されることは間違いありません。

(安藤 ゆかり/研修講師・キャリアコンサルタント)

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