夫婦の子どもに対する向き合いの違いが産後クライシスの引き金に
女性が出産の瞬間から母になれるのは、10か月もの間、育んできた実感があるから。一方男性は、たしかにお腹が大きくなるのは見てはきたけれど、看護師さんから赤ちゃんを渡されて、緊張しながら抱っこした瞬間からパパになれというのは、なかなか難しいことです。
よく子どもが0~2歳のうちに離婚が多いと言われていますが、そのくらい夫婦として難しい時期である“産後クライシス”。“産後の危機をチャンスに変える!”そんな方法をお伝えします。
さて、退院すると24時間営業の育児が始まります。
ママは3~4Kgの子どもをカラダから出したわけですから、これは大変な重労働。会陰部の痛みや悪露、だるさの残るカラダで、不安と闘いながら赤ちゃんのお世話をします。
朝から赤ちゃんの泣き声で起きるママ。育児サイトを見たり、母親学級で教えてもらったことをやってみる。
― 泣き止まない・・・
なんで? 私のやり方が悪いの? 何が嫌なの?
『泣いたら抱っこしてあげましょう。笑顔で名前を呼んであげて落ち着かせてあげましょう。』と書いてあるから、疲れてるけど、眠たいけどやってみる。
― さらに泣くわが子・・・
なんで? 私だって泣きたいよ。笑顔が引きつる。
泣き止んだので、そっと置いてみる。 すぐにまたギャー!と泣くわが子。
生まれて初めて、話の通じない存在との格闘を十何時間もしていると、夫が帰宅。
すぐに赤ちゃんの顔を見にベビーベッドに駆け寄って「ただいまー!パパ帰ってきたよー」と満面の笑み。
― 分かる。あなたの子でもある。可愛いよね。でも私にただいまは?お疲れさまは?
「今日はなかなか泣き止まなくて大変で・・・」なんて話し始めても、「そうかそうか、大変だったね。」そして「ねぇ、僕のごはんは何?」
ムカ!私はあなたのお母さんじゃない!
実は「子育て」というものに対するとらえ方は、育った家庭によって大きな違いがあります。
自分が何番目の子どもか、実母の性格、実父がどのように子育てに関わっていたかなど。ですので、ママが無意識に望むのは、「お父さんはいつも私を公園に連れてってくれていた。」夫も「母さんはこんなこともしてくれたのに・・・」という実家の様子であることが多いのです。
生まれる前に、ぜひ話し合っておきたい「自分の育てられ方」
出産前に、まだ二人でゆっくりと話し合える時期に、
・自分の実家での父と母の関係
・自分がどのように育てられたと感じているか?
・私が父親(母親)に望んでいる役割、担当
などを、お互いに正直に話しておくことが大切です。
そして、夫として、父として、どのようにしようと思っているか?を聞きましょう。
それがあなたの望むものでないかも知れませんが、まずはお互いの感覚の違いを認識し、話し合い、わかる範囲で約束事を決めておくことが、産後クライシスを防ぐ一番目の方法なのです。
セックスについてもしっかり話しあっておくことが重要
また、産後のセックスレスは、母性本能であり、当たり前のこと。
子どもが夜中に泣くのも、授乳中に次の子どもが出来てしまったら私の世話をしてくれなくなってしまう!大変!よし、夫婦の時間の邪魔をしよう!という本能だとも言われています。
でも、夫は何もカラダの変化があるわけではないので、このような本能は分かりません。
ですから、セックスに対する欲求の違いで危機を迎える夫婦はとても多いということも、ちゃんと話し合っておきましょう。
お互いの思いを言葉にしていきましょう
そして最後に、自分が疲れている時、不安な時、私は夫にどうしてほしいか?を考えてみましょう。
自分が何を望んでいるかを考えないで、ただただ不満を言っていても、だんな様は手の貸しようがありません。
「私は疲れている。あなたも疲れているだろうけど、このままだとイライラが爆発しそうだから、ちょっと〇〇してくれると嬉しい。」という風に、しっかりと相手を思いやりながらも自分の思いを伝えましょう。
夫婦を継続するだけでも大変なこと。ここに新しい命をはぐくむ仕事が加わったのですから、二人でちゃんと言葉にして、お互いの思いを確認しながら試行錯誤していきましょう。
(三浦 久美子/カウンセラー)