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ネガティブな子どもにしないために 「比べない」言葉がけが必要

JIJICO 2016年5月4日 15時0分

否定的な言葉がけは子どもの思考に悪影響を及ぼす

同じ事柄であっても、ものの見方によっては、真逆の表現になることがよくあります。
例えば“人なつっこく明るい”という表現。
見方を変えるとこの場合、逆に“なれなれしくてうるさい”と言われてしまう事もあるでしょう。

だからこそ、親は子どもに、この先の人生を楽観的すぎずに慎重に生きてほしいと願い、ブレーキをかけるつもりで否定的な言葉がけをしてしまう事もあるのではないでしょうか。
しかし「褒めると調子にのってしまうから」という考え方は、必ず子どもの思考に悪い影響を与えます。

比べる言葉がけは、子どもが否定的な考え癖をつけることに

また、「もっとがんばってほしい」という叱咤激励の意味を込め「ちょっと前までは…」「クラスの○○さんは…」「どうせ…」など、他人や過去などと比べる言葉がけも同様です。

例えば自分に置き換えて想像してみてください。
もし、一生懸命仕事して疲れて家に帰った時、「それが仕事というものだから当然でしょ。もっと○○さんみたいに、しっかり結果を残したら?」と言われたり、腕によりをかけた料理を「どうせいつもが手抜きだから」「昔はよかった」などと言われたら、大人でも嫌気がさすはずです。

『もっとがんばってほしいからこそ、あなたの為を思って言った。』と言われたとしても、その真意は伝わりにくいでしょう。
ここまで言われて“負けじ魂”で頑張れる人は大人でもわずかでしょう。

この言葉で共通するのが“比べる”という事です。
“○○さんみたいに…”“どうせ…”“昔は…”など、いずれも、他人との比較、勝手な思い込みとの比較、過去との比較でありのままを認めてはいません。

大人でも言われ続けると、やる気がなくなり否定的な考え癖がついてしまいそうですが、もし子どもが大好きな親から言われ続けたら、その後の思考がどうなるかなど、簡単に想像できます。

ありのままを認める言葉がけを心がけて子どもを育てる

ポジティブが良く、ネガティブが悪いというわけではありません。
ですが、親の否定的な考えをそのまま子どもに押し付けてしまうのは、子どもの人生を考えると、あまりにももったいない話です。
“無限の可能性”という芽を摘んでしまっています。

ちなみに、私は造形教室を主宰していますが、教室内では「上手ね」という言葉かけは行いません。
これは否定的な言葉ではなく“褒め言葉”ですが、実はここにも比較が入っているため、知らず知らずに競争心が生まれてしまう言葉でもあります。
“上手い”“下手”の概念に左右されないように、と常に思っています。

他人が「上手い」と言われることによって自分は上手い部類に入っていないと勝手に思いこんでみたり、いつもは「上手い」と言われるのに今日は言われないということは、自分の評価が落ちてしまったのではないだろうか?と感じてしまうなど、そんな些細な経験を蓄積してもらいたくないからです。
アートに正解はありません。子育てにおいても同様で、その時その時のありのままを認めるべきなのです。

もちろん、決して “ありのままを認め、例え悪いことをしても叱ってはいけない”と言っているわけではありません。
ただ、そこにあるのは事実のみであり、話し合うべき事はその“事実”についてだけなのです。
比較などは、必要ありません。
何気ない一言、悪気のない一言も、子どもの心に確実に残っています。

『子どもの頃の経験は大人になって現れる』といっても過言ではありません。
その時その時のありのままを認める言葉かけが出来たら、盤石な愛情のもとで育ち、子どもはきっと、ポジティブ・ネガティブのどちらの考えも受け止め、最善の判断・必要な行動のできる素敵な大人になっていくことでしょう。

(石橋 幸子/幼児教育教室運営)

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