脳神経細胞間のネットワークは乳幼児期に爆発的に増える
人間は、約1000億個の脳神経細胞を持って生まれ、その数に個人差はあまりないと言われています。
脳の発達には脳神経細胞の数よりも、脳神経細胞間のネットワークの数の方が大切になります。
乳幼児期は脳神経ネットワークが爆発的に増える時期です。
この時期は、主に体を使って脳神経ネットワークを増やしていきます。
赤ちゃんは、最初思うように体を動かすことができません。
できるのは、泣くこととおっぱいを吸うことだけ。
それが、内的な力と体を動かすことによって脳神経細胞のネットワークがつながっていきます。
・・・この時期は、体をいっぱい動かして、いろんなモノに触れさせることが脳の発達につながるのです。
親は、子どもにきれいなモノだけ触れて欲しいと願いますが、子どもは汚いモノ、危険なモノにも触れたがります。
もちろん、本当に危険なモノは触ってはいけないと教えるべきですが、何でもかんでも危ないと取り上げてしまうと、子どもの生きる力の発達を阻害することになります。
できるだけ自然に触れさせることも心がけたいものです。
土、石、水、葉っぱや虫、動物などに手で触れる、耳でいろんな音を聞く、いろんな匂いを嗅ぐ、味わう・・・など五感の刺激も脳のネットワークを発達させます。
乳幼児期に三層構造の脳は発達していく
ところで、脳は大きく分けて三層構造になっています。
一番外側が新皮質(大脳皮質)、その内側が旧皮質(大脳辺縁系)、一番内側に脳幹があります。
新皮質は知覚-思考-判断といった活動を行い、旧皮質は感情や運動神経を管理し、脳幹は生命維持に必要な活動をしています。
これらの脳の領域は、発達する時期も違います。胎児期にはまず脳幹が発達し、生まれて3歳くらいまでは主に旧皮質が発達し、新皮質が発達するのはその後です。つまり、生命力➡感情➡思考という順に脳は発達するのです。
そして、乳幼児期における保護者の言葉や態度は、子どもの脳の発達だけではなく精神的発達にも大きな影響を与えます。
乳幼児期の親の接し方で精神的発達にも大きな影響を及ぼす
日本人の自己肯定感が低いことは統計的※にも明らかになっていますが、その基礎は乳幼児期に作られるのです。(※2011年の意識調査で、日本の高校生は米・中・韓の高校生と比べ自己肯定感がとても低い結果が出ています)
自分に価値がある/ない、という意識はどうやって作られるのでしょう?
まだ右も左も、良いも悪いも分かれていない時期に、何か自分がしたことに対して周囲の大人が関心を向けて褒めたり喜んだりしてくれると自己に関するポジティブな情報が蓄積されていきますが、何をしても怒られたり無視されたらネガティブな情報が固定されていくのです。
このネガティブな情報が固定されていく結果、自己肯定感の低い人間になっていくのです。
保護者の精神衛生を保つための工夫も大切に
子どもに肯定的な言葉や態度を与えていくには、保護者の精神衛生を整える時間を持つことも大切です。
頭の中が考え事でいっぱいだったり、ストレスで心が病んでいると、本当はそうしたくなくても、子どもにネガティブな言い方をしたり、子どものおしゃべりや行動を無視してしまいます。
そういう時は自分を責めずに、どうしたら疲れや心の荷物を解放できるかに目を向けましょう。
信頼出来る人に話を聞いてもらう、マッサージを受けたり、走ってみたり、呼吸法など・・・自分に合ったストレス解除法を見つけておくとよいでしょう。
自分を責めればさらにストレスが溜まって、子どもに爆発してしまい悪循環のサイクルになってしまいます。
子どもの健やかな成長のためには、まず保護者の精神衛生を整えることが大切であるということを忘れないようにしてください。
(吉村 規子/こども脳教育トレーナー)