夏休みの読書感想文
もうすぐ夏休み!小中学生の特権として、そのあり余る時間をどのように過ごそうかとワクワクしているお子さまも多いことでしょう。
しかし、遊ぶことに夢中で気づいたころには宿題が山のように残っていて、泣く泣くやり残した宿題と過ごすなんて言うことも、よくある話です。
そんな宿題の中でも、最も気乗りしないものの一つが読書感想文というお子さまも多いことでしょう。
いつも学校で出されている宿題のドリルや書き取りなどには慣れているものの、文章を書くとなると、不慣れのせいで戸惑ってしまうのかもしれません。
この一見難問に思える読書感想文、課題となる本を誰が決めたのかについて、ベネッセの調査があります。
それによると6割強が「お子さま一人」で決めているようで、4割弱が親子一緒に決めるそうで、保護者のみで決めるというケースはほとんどありません。
また、本を選ぶ基準は、「読書感想文におすすめの本ではなく、お子さま自ら好きな本を選んだ」が最も多く、約35%という結果でした。
子どもが好奇心を持って、読みたい本を選ぶのが、読書感想文を始める第一歩とも言えます。
自分の好きなことから未来の仕事を「読もう」
そこで今回ご紹介する本が、村上龍『新13歳のハローワーク』(幻冬舎)です。
この本は一風変わった百科事典のような体裁で、世の中にある約600種の職業を、シンプルな挿絵とエッセイで紹介しています。
お子さまにとって仕事とは何かを考える上で、まず最初に思い浮かべることは周りにいる大人です。
親、親戚のおじさんおばさん、近所の人、学校の先生ぐらいが周りにいる大人でしょう。
お子さまが仕事について、想像できたり、お話を聞けるのも大体がその範囲なのです。
この本では多種多様な職業を「~が好き」という好奇心に応じて自ら探していくような分類がされており、自分の好きな分野のページを開くと「自然と科学」「アートと表現」などの大きな枠があり、そこから「動物が好き」「花や植物が好き」「虫が好き」と、それぞれの分野に派生し細分化された職業が紹介されています。
自分の好きなことから、仕事を「読む」体験ができるのです。
世の中には、そもそもあったことすら知られていないような仕事も多いのです。
日々の限られた環境で過ごしているだけでは出会えない仕事、この本ではそれらを知るきっかけになります。
お子さまにとって、仕事はつまらないもの、やりたくないものと考えてしまうなら、仕事がつまらないのではなく、いろいろな仕事があることを知らず、その仕事を通して活き活きと生活している大人のロールモデルに出会っていないからに他なりません。
また偉人の伝記物などを読んでみるのも、ロールモデルを発見できるチャンスになると思います。
お子さまが将来の仕事や夢について思いを馳せる夏休みになることは、いつもとは違った有意義な夏休みを過ごすきっかけになることでしょう。
(田中 正徳/次世代教育プランナー)