英語を小5から教科化することが新学習指導要領で発表
2020年度導入予定の新学習指導要領、英語教育に関しては、小学校5・6年生の外国語活動を3年生からに前倒し、高学年では、英語の教科化、授業時間を倍増、小中高校の全教科が自ら考えながら学ぶ学習法、「アクティブラーニング」を取り入れる方針と発表されました。
具体的には、5・6年生では1コマ45分35コマから70コマへと文字通り倍増、「聞く・話す」を重要視した外国語活動に「読み・書き」も取り入れられ教科としての英語という位置付けになります。
しかしながら授業時間の倍増により、他授業が削減されるわけではなく、その時間の確保や教育の質については厳しく問われるところとなりそうです。
また、教科化される事により、評価の仕方に注目が注がれていますが、当然のことながら、指導の在り方、指導の質にも、更に目を向けられるべきだと考えます。
英語教育の目玉である「アクティブラーニング」とは?
キーワードとなる「アクティブラーニング」とは、どのような内容を指すのでしょうか。
過去の日本の教育に多く見られた、教員が一方的に指導するというものではなく、体験的学習や調査的学習、そしてグループワークなどがそれに当たり、決して新しい学習法というわけではありません。
理科や社会など体験的に学びやすい教科において、外国語を使い指導するというCLIL(内容言語統合型学習)や、英語絵本を使いながら子供達の実生活を意識し、その内容を展開していく方法など、児童にとっては興味深くわかりやすいアクティブラーニングだと言えますね。
自ら課題を見つけるという非常に興味深いスタートに始まり、思考力や判断力を求められ解決まで導かれるわけですから、その関わり方により学習の質、習得の仕方にもより期待が高まると思われます。
また、中学・高校生レベルになると「アクティブラーニング」により、発言の機会や相互作用が増し、考え方の多様性に気付く良い機会となります。
それは、学びの質を高めるだけではなく、他国に負けない国際人、地球人つくりにも貢献してくれる事になるでしょう。
アクティブラーニングの課題は指導者の取り組み姿勢や指導力の質
何かと期待される「アクティブラーニング」ですが、それをリードする指導者達が、共通した理念をしっかりと持ち、その取り組み方、内容の統一化などが求められます。
英語好き担任主導と英語嫌い担任主導、当然、そこに取り組み方の差が生まれてしまう事は避けられません。
特に義務教育課程においては、全ての子供達が平等で良質な英語教育を受けるべく、指導者側の取り組み姿勢や指導力の質向上などにも更なる国のサポートを期待したいところです。
担任主導のスタイルに縛られ過ぎずに、外国人講師起用の在り方や英語を専科とする事も再検討されるべきなのかもしれません。
また教科になる事で指導内容、目標が定められ、それには必ず評価がついてきます。
評価の在り方もまだまだ議論されていく事になるのでしょうが、児童達のやる気が「次」につながるような評価内容であってほしいですね。
これまでの日本の英語教育を見直す必要があったのは、どうしてなのか、その原点にずれが生じないように議論を進めてもらいたいと願います。
これからを担う児童生徒達の生きた英語力を養うために重要な事は、その評価の仕方より、まず良質な英語教育の内容そのものと魅力ある授業展開だと感じます。
また、隙間時間の有効活用にも工夫を凝らし、実を結ぶ楽しい英語の教育を実現せてほしいと思います。
長年に渡り、取り組まれている「日本の英語教育大改革」が、2020の新学習指導要領に反映されている事、今後の英語教育の方向性に期待を寄せながら、決してずれのないことを願います。
(ゴーン 恵美/英会話講師)