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音楽で頭を良くする方法がある?! 音楽教育が育む脳の力とは?

JIJICO 2016年10月6日 9時0分

頭の良い人の脳の使い方には共通点がある

「一を聞いて十を知る」という言葉がありますが、これは物事の一端を聞いただけで全体を理解できる、という意味です。
頭が良い、ということと同じような意味に使われるこの言葉のように、人の話から要点をすぐにつかんだり、意味をくみ取ったりするのが早い人がいます。これは言語理解能力と呼ばれています。
この能力に加えて、話から得られた情報と自分の持っている知識と組み合わせて、分析する作業が、即座に出来るようになったらどうでしょうか。
何か問題が起こっても、一段高い視点で問題を解決できる力、というのは、生きていく上でも必要で大事なものだと思えます。

1万人以上のMRIの脳画像をみてきた博士によりますと、現役東大生達の脳の画像には、脳の使い方に共通する傾向があったそうです。
それは、言語理解能力と聴覚からの記憶に関する左脳の超側頭野と、思考や集中力に関する前頭野の最先端の部分である超前頭野の成長が早熟だったということです。
つまり、相手の話をじっと聞いて、理解しながら記憶したり、相手の話を聞き要点をつかんだりする力にたけているということが分かります。
高い集中力や記憶力がつくような脳の使い方を子供の頃からしてきた結果ということなのでしょう。

子どもが小さいときから音楽に触れることで脳を活性化させる

それでは、そのような脳をつくるために、子供にはどんなことが有効なのでしょうか。
親ができることとしては、本の読み聞かせや、好奇心を刺激することを体験させること、そしてスポーツを始めとして、様々なお稽古事を習わせることもそうでしょう。
しかし、日常的にとても簡単にできて、効果があるのが、実は、音楽に触れることなのです。

一番手軽なのが、家で音楽を流していただくことです。
できればクラシック音楽がおススメです。
そして、もっと良いのがピアノなどを始めとしたクラシック音楽を習うことです。
ピアノを始めとしたクラシック音楽を習うことが、脳を活性化させることはすでにいろいろな場面で言われています。
楽器の演奏は、楽譜を見て、音を聴き、指を動かすという五感を総動員しなければできない作業です。
また、クラシック音楽そのものが、長年の時間を経て生き残ってきた音楽であり、和声や形式が非常に優れているものばかりです。
そして、複数の旋律が美しく絡み合っています。それらのメロディーがつくりあげる響きを聴き、更には、聴こえてくるいくつもの旋律を能動的に聴きわけていく、といった作業をすることは聴覚を刺激し、脳を活性化させていくことに大変役立ちます。

そして、クラシックの楽曲には抽象的な内容の曲が多く、曲から様々なイメージを受け取ったり、自分からもイメージを浮かべたりすることで、脳は刺激をうけ、抽象的な思考力も育まれます。
そして、楽器の演奏は、誰でも「暗譜」を経験しますが、この暗譜ができるようになるためには、相当の回数の練習量が必要です。
しかも、曲が長くなるにつれ、ただの反復練習だけでは暗譜ができません。
部分的な練習をかさね、それをパズルのようにつなげていき、確実に身体に落とし込んでいく、そんな暗譜の練習が必要になります。
この練習というのは、集中力がなくては効果がありません。
日々のこのような繰り返しで、だんだんと記憶する力、集中力、抽象的な思考をつくるための土台も育まれていくのです。

大切なのは子どもに音楽を好きになってもらうこと

こう書いていくと音楽の習い事がいいことばかりのようですが、実は注意しなければいけない落とし穴もあります。
難しい個所にぶつかり、練習やレッスンに通うのが嫌になってしまったり、クラシック音楽を身近にするにも、少しハードルがあったりもします。
これについての解決策については別のテーマになりますが、まずはお伝えしたいのは、音楽の教育というのは、時間がかかるもので、全く壁もなく上達し続ける、ということはありません。
大事なことは、まずは音楽を好きになり、楽しむ心であり、そして、あせらず子供の進歩と関わっていくことではないかと感じます。
心の余裕を持ちながら上手に音楽と関わり続けることができれば、多くの可能性を手に入れることができるのです。

(細川 莉夏/ピアノ講師)

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