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非喫煙者にも健康への深刻な影響を及ぼす受動喫煙とは?

JIJICO 2016年10月26日 15時0分

受動喫煙とはどのような状態なのか?

タバコが健康に影響を及ぼすことについて、喫煙者(たばこを吸う人)のみならず、非喫煙者にも少なからず影響があることが昨今指摘されています。
受動喫煙とは非喫煙者が自分の意志とは関係なく、タバコから排出される有害物質にさらされる状態を言います。
タバコが喫煙者に及ぼす健康への被害以上に大きな影響があることが指摘されたことや、また「健康増進法(受動喫煙防止法)」が施行されるなど、受動喫煙は社会問題として認識されていると言っていいでしょう。

受動喫煙で吸い込む副流煙は主流煙より多くの有害物質が含まれる

タバコの煙は、3種類に分類されています。
タバコを吸っている人(喫煙者)が吸い込む主流煙、タバコが燃えて先から直接出てくる副流煙、喫煙者から吐き出される呼出煙の3種類です。
このうち、副流煙には主流煙よりも多くの有害物質が含まれていると指摘されています。
ニトロソアミンという発がん性物質は、主流煙のなんと52倍も含まれているとの報告もあるようです。
この副流煙や呼出煙を、自分の意志とは無関係に吸わされていることを受動喫煙と言います。

受動喫煙の危険性は、主流煙(喫煙者の吸う煙)がフィルターを通した煙なので有害物質をある程度カットする一方、受動喫煙が主に吸い込む副流煙は直接発生した煙を吸い込むということとともに、主流煙より低い温度で発生した煙であるため、たばこの葉やたばこを巻いた紙などが不完全燃焼することが多く、主流煙より有害物質を多く含むとの指摘があります。
この有害な煙を自分の意志とは関係なく吸わされているという事実により、喫煙者がマナーを守ればすむ問題と、受動喫煙の問題を単純化することはできなくなっています。

受動喫煙者にも確実に健康被害を受けることに

喫煙は、吸っている本人の健康にとってよくないのはもちろんですが、周りの人の健康にも悪影響を及ぼします。
すぐにあらわれる症状としては、目やのどの痛みなどがあります。心拍数が増えたり、咳込んだり、手足の先が冷たくなったりするなどの影響があらわれる人もいます。
また、長期的にも影響があります。受動喫煙をしていると、心筋梗塞や狭心症で死亡する危険性が1.3~2.7倍にもなることが報告されています。
他にも受動喫煙により、脳卒中や喘息などのさまざまな病気を発症する危険性が高くなることが知られています。
さらに、妊婦やお腹の中の赤ちゃんにも影響があります。
妊婦が受動喫煙にさらされると、流産や早産の危険性が高くなることや、新生児の低体重化がおこることなどが報告されています。

空気清浄機にタバコの有害物質を防ぐ効果はない

受動喫煙の予防の難しさは、自分でも気づかずに副流煙などを吸い込んでいるケースが多いことです。
たとえば、空気清浄機があると、タバコの煙や臭いをあまり感じないので、つい安心しがちです。
ところが、空気清浄機では一酸化炭素などのガス状物質は除去できないため、有害物質を防ぐ効果はありません。

このように受動喫煙は、見た目や臭いなどからは分かりにくい面もありますが、自分が被害を受けている場合には自覚症状がみられることも少なくありません。
たとえば、目が痛い(しみる)、ノドが痛い(咳が出る)、頭痛が起こるなどの症状です。
したがって、初期の軽い症状を感じたら、そうした場所は避けるようにすることが大切です。
会合などの付き合いでやむを得ない場合でも、長居はせず、早めに切り上げましょう。
とくに高血圧や糖尿病、脂質異常症などの方は、動脈硬化や心筋梗塞の予防のためにも十分な注意が必要です。

家族がなかなか禁煙できない場合には、病院の禁煙外来を訪ね、医師と一緒に禁煙に取り組むなどして、胎児や子どもに受動喫煙の被害を及ぼさないようにすることも大事かも知れません。

(佐藤 浩明/消化器内科専門医)

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