長期に渡る頑固な咳の原因は?
長引く咳は、本人がしんどいばかりではなく、周りの人にも色々と不安を与えます。
今回は通常1、2週間で治ってしまう風邪などの急性感染症による咳ではなく、3週間以上続く頑固な咳についてお話しします。
まず周りにも同じような咳をしている人がいる場合、百日咳やマイコプラズマなどの感染症を疑います。
これらの感染症は近年毎年のように流行しており、何週間も長引くしつこい咳が特徴です。
またご高齢の方では結核の再発も考えられ、時に集団感染することがあります。
これらの感染症は他人に次々と移りますので、こじらせる前に抗菌薬による治療を開始することが重要です。
タバコを長年吸っている人の場合
次にタバコを長年吸っている人が痰のからむ咳をしている場合、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を考えます。
放っておくと息切れで酸素吸入が必要になったり、重症の肺炎や肺癌を合併して命に関わることがあります。
早い目に禁煙指導や吸入薬による治療を受けましょう。
また65歳以上の高齢者は肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンを済ましておくと、重症肺炎の予防になります。
最近増えているアレルギーが原因の咳
それ以外で最近増えているのが、アレルギーによる咳です。
花粉や家の埃、ダニ、ペットの毛などが原因で乾いた咳がずっと続くものです。
アレルギー性鼻炎や喘息、アトピー性皮膚炎の人に多いので、これらの病気のある人は医療機関で診てもらいましょう。
特効薬を使えば咳は楽になります。
またアレルギーに関連して鼻の奥や喉の炎症が咳を誘発する副鼻腔気管支症候群という病気もあります。
鼻や喉が詰まった感じがあれば耳鼻科にも相談しましょう。
他に、胸焼けや喉のつかえを伴う頑固な咳は逆流性食道炎を疑います。
高血圧の薬でアンジオテンシン変換酵素阻害薬の副作用には空咳があります。
乳幼児や高齢者では誤って小さな異物が気道に入って、咳が続くことがあるので注意しなければいけません。
このように長引く咳には多くの原因があります。
そして肺炎や肺癌、肺の血管が詰まる肺血栓塞栓症など見逃すと危険な状態が隠れているかもしれません。
たかが咳だと軽視せず、ちゃんと医療機関で診てもらいましょう。
(古家 敬三/医学博士)