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トランプも活用「結婚前合意書」日本でも広がる?

JIJICO 2016年12月9日 9時0分

ハリウッドセレブが離婚時にもめないのはなぜ?

時折入ってくるハリウッド俳優の離婚について、その慰謝料の額に仰天しますが、思いのほかあまり長い間こじれない事も驚きです。
これは結婚生活における夫婦間の約束事を結婚前に合意書として取り交わしとしているからですが、特にセレブの間では、財産の取り扱いや離婚時の条件などにまで及び、それを「プレナップ」と呼んでいます。
最近では、日本でも大渕愛子弁護士や神田うのさんがこういう書面での取り決めをしていると言います。

最近で言えば、2度の離婚を経験したトム・クルーズは、3度目の結婚相手ケイティ・ホームズとの間に下記のような契約を締結したと言われています。
「11年以上結婚生活が続いた場合のみ、財産の半分を伴侶に分配する」
「(11年以下の場合は)結婚生活1年につき約300万ドルを受け渡す」というものです。

また国際弁護士、アマル・アラムディンさんと再婚したジョージクルーニーは結婚前、2人は結婚生活に関する細かい取り決めをした内容の契約書を交わしています。
アマルさんがこれまで通り国際弁護士の仕事を続けられるように、“家事はいっさいしない、不妊治療はしない”といった条項が盛り込まれました。
こうした取り決めをしたおかげで、結婚生活の中でお互いが負担を感じない生活に成功するならストレスフリーですよね。

日本では離婚時にもめることが多い

それに反し日本の離婚事情は歌手の高橋ジョージさんと三船美香さんの離婚に見られるように揉める事は珍しくなく、先のケースでも離婚は成立しても財産分与である住宅の事の決着がまだ着いてないようです。

一般的に日本人の離婚は協議離婚が多いのですが、それは大きな財産が発生しないからと言うこともあり、妥協して離婚に至る人も多いと思います。
それだけにあらがう場合は調停を経て裁判になり、ようやく決着が着くことも多く、まして高額な慰謝料を求める場合はこじれたり長期に至る事は必至という状態になってしまいます。

トランプも利用した結婚前合意書 離婚後も良好な関係を保持

 
この度、アメリカ大統領に当選したドナルドトランプ氏ですが彼は3回の結婚をし、その都度別れてきた家族とは今でも上手い具合に付き合っているそうですが、それはやはり「結婚前合意書」を交わしているからと言われています。

これは離婚時に揉めない知恵でもありますが、離婚に際しての取り決めが前もってなされているためでもあり、離婚時に双方の思惑が大きく異なり関係性が最悪になってしまいがちな日本の離婚と違い、離婚時に揉めない事で別れた家族とも後々良好な関係を継続していけるのです。

結婚前から離婚の事を考えておくというのは性善説的で結婚する日本人の感覚には合わないかもしれませんが、「嫌な喧嘩は先にしておく」という言葉だったらなんとなく理解出来ますよね。

つまり自動車保険のようなもので、掛け金を支払い、それを活用する機会がない事を願うような矛盾した「保険的考え」です。
それがあるから安心して運転できるというのとよく似ているので、今後は日本にも「転ばぬ先の杖」として受け入れられていくのかもしれません。

結婚前合意書は離婚を念頭に置いているものではない

つまり結婚前合意書とは離婚を念頭に置いているということではなく、それくらいの覚悟を持った結婚とも言えるので妻にとっても心強いものです。
最悪の場合にでもそれだけの物を担保してくれる相手には敬意をもって生活しようとしますし、もし離婚になっても、その後の家族が幸せになれる形を一番に考えるでしょう。

要するに、結婚生活のルールと離婚のルールは紙一重で、どちらに転んでも、どの場面でも可能な限りのベストを尽くす事につながるのが結婚前合意書だと思います。

日本人は結婚時に、同時に離婚の事を考えるというのは、縁起が悪いという意味で、なじまないとは思いますが昔から日本人は、予防については堅実な人種です。
この海外スターの打ち出した方法は、ある意味日本人気質に向くのではないでしょうか。

離婚という最悪の事を避けたいから現実を見ないのと、現実に目を背けないで最悪の事態を避けるよう結婚生活を送るのでは、結果は大きく変わってくるでしょう。

「在ってはならない事だけれども、無くてはならないもの」それがプレナップ

結婚前合意書、プレナップを用いて再云婚したトランプ氏。
それにしてもトランプ氏は政治でもこうした先を見越した先見の明で政治を行ってくれるのを期待したいですね。

(村越 真里子/夫婦問題カウンセラー)

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