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まとめサイト著作権侵害の可能性 収益最優先のつけは大きい

JIJICO 2016年12月22日 13時0分

IT大手のまとめサイトが公開中止に

IT大手が公開していたまとめサイトについて,問題があるとの指摘がなされたことを受け,同社が複数のまとめサイトの公開を中止したとの報道がなされました。
まとめサイトのことをキュレーションサイトともいうようですが,要するに特定の話題事項に関する情報を集めたサイトのことであり,虚偽の情報が含まれているといった問題のみならず,他人の著作物を利用・編集することになるため著作権侵害の問題も生じ得ます。
ここでは,著作権侵害の点に絞って解説してみます。

現状のまとめサイトは著作権侵害になる可能性が高い

著作物とは,「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいます(著作権法2条1項1号)。
インターネット上に溢れる表現や画像のほとんどがこの著作物に該当し,その著作者において著作者人格権及び著作権を享有することになりますので,著作者に無断で複製したり,あるいは改変を加える行為は,これらの権利に含まれる複製権(同法21条)ないし同一性保持権(同法20条1項)を侵害することになります。

他方で,「公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。」(同法32条1項)とも規定されておりますので,「引用」であれば,著作権侵害にはなりません。
ここでいう「引用」とは,「自己の著作物の中に他人の著作物の全部または一部を取り込むこと」を言いますが,最高裁昭和55年3月28日判決が,「引用といえるためには,引用を含む著作物の表現形式上,引用して利用する側の著作物と,引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ,かつ,右両著作物の間に前者が主,後者が従の関係があると認められる場合でなければならない」などと判断していたため,「明瞭区別性」と「主従関係」が要件となるものと一般的には言われていました。
しかしながら,最近の知財高裁において,「引用としての利用に当たるか否かの判断においては,他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか,その方法や態様,利用される著作物の種類や性質,当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などが総合考慮されなければならない。」などと判断したものも出てきましたので,明確な線引きは難しくなってきたと考えられます。

このようなことを考慮しますと,広告収入を得るために安易にこのようなまとめサイトを制作することは大変危険であり,著作権侵害になる可能性があることを当然に覚悟しておく必要があるといえます。
もちろん,虚偽の情報を拡散することが言語道断であることは言うまでもありませんが。

(田沢 剛/弁護士)

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