絶えることのないアルハラ
社会に出ると、様々な”理不尽”というものに出会います。縦社会の人間関係や雇用者と従業員、提供側とお客、社会的人間関係ゆえにこんなことまで我慢しなければいけないのかと思うこともあるでしょう。
かつて昭和の高度成長期には、それらを努力忍耐根性で耐え忍んでいたようなことも、現代では許されない傾向にあります。
パワハラ、セクハラ、モラハラ。『〇〇ハラスメント』という社会的な問題として現代では定義され、それぞれ公的な相談窓口もあります。
年末年始は、忘年会・新年会シーズンでお酒を飲む機会も増えます。
『〇〇ハラスメント』のひとつ、『アルコールハラスメント』に気を付けましょう。
アルコールハラスメントというのは、アルコールを飲むことに関する嫌がらせ全般を指します。
多くの人がアルコールハラスメントを良くないと感じ、その場面に遭遇していますが、どうしたらトラブルを避けることができるのでしょう?
お酒を進んで飲んでハラスメントしてしまう人の思考
時代の流れによって、あったものがなくなって、なかったものが現れる、これは諸行無常の世の真理です。
「飲みニケーション」(酒を飲みながらコミュニケーションをとる)というのも、若者の「〇〇離れ」が進む中では、もう消えつつある文化だと認識しなければならない時代なのでしょう。
飲む人にとっては「お酒の席のことでしょ…?」と思うかもしれませんが、それは個人的認識であって、アルコールハラスメントは、場合によってはパワーハラスメントやセクシャルハラスメントにもなり、個人間で不法行為責任が問題となることがあるだけではなく、会社自体の責任を問われる可能性があります。
また、あまりに悪質な場合、飲酒の強要行為が強要罪となったり、人を酔いつぶさせてしまう行為が過失傷害罪や傷害罪となったりするということを認識しましょう。
「飲みニケーション」の優先順位が、コミュニケーションより酒を飲むことが優先されてはいけません。
飲めないのに飲んで迷惑をかけてしまう人の心理的な問題点
お酒を飲めないのに、飲んでしまう人にはどんな問題があるのでしょう?
きっと、本人は「場のために飲んでやっている」「人間関係のために我慢してやっている」といった、どこか不満を含んだ気持ちなのではないでしょうか?
心理学の「アサーション」というコミュニケーションに関するジャンルにおいて、思ったことを口にせず、相手任せな人を「ノンアサーティブ」といいますが、ノンアサーティブな人は、相手を優先しているつもりでも、責任の所在を自分に置かず、後々不満を抱きやすくなります。
コミュニケーションにしても飲みニケーションにしても、相手の気持ちのみならず、自分の気持ちも尊重し、互いの気持ちを尊重してこそ、気持ちの良い時間を過ごせるのではないでしょうか。
(青柳 雅也/心理カウンセラー)