生活の欧米化で増える乳がん患者
生活の欧米化に伴い乳がん患者が増えており、女性を襲うがんの中で一番多いと言われています。
乳がん検診は重要ですが、乳がん検診を受けていたのに乳がんになったという記事も見かけます。
乳がん検診について考えてみましょう。
検診の有効性はどう評価するか?
そもそも検診の有効性はどのように評価されるのでしょうか?
検診をすることによって、その病気が放置されていたときに生じるであろう最悪の状態を有効に予防することができるかということが評価されます。
乳がん検診の場合は、検診によって乳がんによる死亡がいかに抑えられるかということが評価の対象となります。
しかし、乳がんは進行が遅く10年20年経ってどうかという評価が必要で、さらに日本においては乳がん検診の受診率が低いため、最終的にどのような形の乳がん検診が最も有効かについては、まだ時間がかかりそうです。
ただ、ひとつ言えることは、乳がん検診によって、早期乳がんが見つかる可能性が増えるということです。
マンモグラフィと乳腺エコーとどちらがいいの?
乳がんの一次検診では、乳房X線検査(マンモグラフィ)だけが現時点では科学的に有効であると証明されています。
医師による触診の検診の有効性は示されていません。
乳房超音波検査(乳腺エコー)は、現時点では有効性に関しては不明です。
これは、乳腺エコーがダメであるということではなく、検査をする人の技術によるばらつきや乳房が大きい人に対する技術的な限界が、マンモグラフィに比べて大きいためだと思われます。
しかし、乳腺エコーで見つかりやすい場合もあります。
超一流英文誌(Lancet)に掲載された日本のJ-STARTという研究では、マンモグラフィだけに比べ、乳腺エコーを追加すると、乳がんの早期発見が増えたと報告されています。
マンモグラフィで見つからない乳がんが、乳腺エコーで見つかったということです。
それぞれの検査には短所長所があり、どちらがいいとは言えませんが、確実な科学的根拠があるマンモグラフィが推奨されているという現状です。
いずれの検査においても、無症状のうちに検診を受診した人では、早期の乳がんが発見される可能性が高く、その段階で治療すれば、治療の経過が良好な場合が多いという事実が重要です。
乳がん検診の結果をどう評価する?
注意していただきたいのは、乳がん検診は絶対ではありません。
ざるで大雑把にあやしい物を見つけて、後は手作業で吟味していくというイメージを持っていただくとわかりやすいと思います。
検診で乳がん疑いとなっても、精密検査で何もないという場合も十分あります。
怖がらずに乳がん検診を受けてください。
逆に、残念ながら、がんが小さすぎて見落とされる場合もあります。
40歳以上の方は、最低2年に一度マンモグラフィによる検診を、可能であれば乳腺エコーを組み合わせていただくことをお勧めします。
(大西 勝也/内科医)