不動産屋が気をつける4つのバブル崩壊の兆し
実感はないかもしれませんが、景気が上向いています。
つい先頃の月例経済報告でも、景気は一段階上向きに修正されたばかりです。
不動産屋の世界では30年前のバブル景気を思い出すのでしょうか、何でも2016年の流行語「神ってる」よろしく、「いまバブっている?」があいさつ代わりに使われているとか。
儲かるところには人は集まります。
不動産を扱う業者数は、なんと9年ぶりに増加しました。
従業者数、宅地建物取引者数も同様です。
もう東京には「買いたい物件がない」と言われるほど物件が枯渇し、国際観光都市の京都では、相続税路線価の10倍で売買されていることもあるとか。
この勢いは地方に広がり、いま地方都市が不動産投資のターゲットになっています。
そんな中、金融庁が、不動産ローン、特にアパートローンの実態調査に乗り出すとの報道がありました。
金融庁は以前から、地方のアパートローンが過熱気味になっていると指摘をしています。今回は、銀行経由でアパートの事業計画書の提出も求めているのです。
思い起こせば30年前のバブル崩壊のきっかけは旧大蔵省が打ち出した「総量規制」でした。
10年前、リーマンショックに端を発し、銀行は貸したカネを回収した結果、カタカナ系不動産会社がバタバタ倒産しました。
浮かれる夜もそうは続きません。
そこで、今回はバブル崩壊の前兆となる兆しを4つご紹介しましょう。
1.金融機関の変化
バブル崩壊は金融機関の貸し出し姿勢の変化を伴います。
そして、金融機関は金融当局の指導の下にあります。
前述のように、金融機関は不動産向けの貸し出しに積極的な中、金融当局によるチェックが入りました。
しばらくはないかもしれませんが、いずれは金融引き締めも起きるかもしれません。
そして、引き締めに政策転換した後では手遅れ、その前に、不動産を売却しなければなりません。
2.金利の変化
金融引き締めの前後には、金利の変化があるはずです。
現在、マイナス金利時代と言われていますが、日銀はわずかずつ修正をしています。
9月以降は「イールドカーブ・コントロール」と言う名前で、長期金利を0%付近に調整しようとしています。
今後も少しずつ修正をしてくるはずですから、日銀の発表する表現にはアンテナを張っておきましょう。
そういえば、海の向こうのアメリカの金利は少し上がってきましたね。
3.株式市場の変化
不動産は中長期的な投資であるのに対して、株式は短期的な投資に向いています。
株式はいつでも売買できますが、不動産の売買には数ヶ月かかるからです。
つまり、不動産市場が落ち込む前には、株式市場に変化が起きます。
言い換えると、株式市場が突然下がり出すと、数ヶ月かかって不動産市場に影響するわけです。
4.怪しい売却話が舞い込む
30年前、10年前の経験を生き残った老練で勘のいい不動産屋は、崩壊する前に早逃げを打ちます。
普段つきあいのない不動産屋から「こんな案件あるんだけど買わない?」という耳慣れない話があれば、それは、バブル崩壊の臭いに感づいたサインかもしれません。
いかがでしょうか?相場の頂点、バブルの頂点は、崩壊してからわかるもの。
しかし、わかってからでは明らかに遅いのです。
備えあれば憂いなし、ちょっとした変化に敏感になっておくことも大事かもしれませんね。
(中山 聡/一級建築士・不動産鑑定士)