社員の副業を一部大手企業が認める
社員の副業を認める大手企業が出てきているとの報道がありました。その背景にはどのようなことがあるのでしょう。
サイボウズ、ロート製薬、ヤフー、クラウドサービスなどは、副業を認めるようにしたとのことですが、個人の自立性や能力を高める効果が期待でき、その経験を実際本業に活かす社員も出てきているようです。
ただ、一般的には就業規則で副業を禁止する企業の方が圧倒的多数です。
副業を頑張りすぎて本業に支障を来すようでは困る、ということが大きな理由です。
他に、本業と副業を併せて長時間労働になってしまう、情報漏洩が心配、などが上がります。
副業を認める企業が出てきた背景
そもそも就業規則で副業を禁止してきたことは、終身雇用が当たり前の時代、自社への忠誠心を求めて、他の企業で副業をするなどもっての外、と考える企業が圧倒的であったからです。
また、社員の方も終身雇用で安定して働く替わりに長時間労働を受け入れてきました。
長時間労働の上、更に副業をするということも考えていませんでした。
しかし、リーマンショック後に、休業を余儀なくされたり、一切残業が無くなったりした企業において、従業員の所得が減り生活に支障を来すため、副業を解禁するところが出てきました。
この辺りから副業を禁止しなくても良いのではないか、という考えが出てきたように思われます。
また、大手企業においても終身雇用が崩れる中、定年まで雇用を保障しきれないと考え、忠誠心を求めるための副業禁止は時代にそぐわなくなってきていると感じているようです。
そのため、上記のような大手企業において副業が許されるようになってきている背景もありそうです。
副業を認める企業は今後も増えていくのではないか
今後、長時間労働に対する規制がいよいよ本格化してくることが予想されます。
労働基準法の改正や月80時間を超える残業をさせている事業所への調査強化などが実施されていきます。
長時間労働が禁止されると残業代を稼げないという人たちも出てきます。
また、残業出来なくなった時間を有効に活かしたい、と考える人も出てきます。
そのような事情からも今後は副業容認の要請が高まって、それを認める企業も増えることが予想されます。
少子高齢化による生産年齢人口の減少による人手不足もあり、企業は多様な人材を受け入れていく必要にも迫られ、副業を認めるくらいでないと良い人材も集まらなくなるのではないでしょうか。
もちろん、副業をするにあたって、本業に支障を来すようでは本末転倒です。
会社外での仕事のやり方、仕組み、考え方などを吸収でき、本業にも好影響を与え、労使双方WINWINになる必要があります。
社員にとっては、自身の能力を副業で磨き、転職や独立へのステップとしてうまく利用することも出来ます。
終身雇用が崩れる中、副業容認は重要なテーマになってくるでしょう。
(影山 正伸/社会保険労務士)