グラス次第でお酒の味が変わる?
お酒を飲む際にグラスや酒器により香味の感じ方が違うのはご存じですか。
お酒の持つ味わいや香りの特徴に合わせてグラスを選択することは、お酒の本来のポテンシャルを引き出す簡単な方法です。
注がれる器は形状や容量、材質により様々です。
口径によっては香りの広がり方も大きく違います。
空気との接触面積や色調による材質の違いも関わり合いがあります。
またお酒の温度によっても選択が変わります。
見た目の印象や演出、楽しむことも大事な要素です。
日本酒をいただくときのグラス選び
例えば日本酒についてですが香味により大きく4タイプに分けられます。
香りの高いタイプが「薫酒(くんしゅ)」。
香りが大事な特徴ですので華やかさを生かす形状のラッパ型やフルートワイングラスやワイングラスの形状でも良いでしょう。
味わいは濃厚なものから軽快なものまで様々ですが出来れば唇に触るところは薄めのグラスの方がより楽しむことが出来ます。
「爽酒(そうしゅ)」と言われる軽快でシンプルな日本酒には細身で口径は控えめなタイプがベストマッチです。
冷やして飲むことが多いこのタイプには飲みきりサイズの小ぶりなものが適しています。
材質的にも温度が上がりにくいものが更に美味しさを長く味わえます。
芳醇でしっかりとしたタイプの「醇酒(じゅんしゅ)」には日本酒らしい風味が活きた味わいが特徴ですので、和を感じさせる酒器がより味わい深いものになります。
風情もあり演出感も醸しだすことが出来ます。
ワイングラスのような形状で口径より下側にふくらみのあるグラスが最適です。
個性的で複雑性に富む熟成したタイプの日本酒を「熟酒(じゅくしゅ)」と呼びます。
スパイス感や紹興酒を感じさせる濃厚な香りと味わいにはやはりブランデーグラスの様な酒器が選択肢に挙げられます。
色合いも琥珀色を呈するものも多くあり、見た目の色合いも楽しめる透明なタイプや白色っぽい酒器も良いです。
温度帯により香味が変化する独特の醸造酒、それが日本酒です。
引用温度帯の幅がとても広い。
お燗酒と言われる飲み方には、ぐい飲みや素焼きの酒器がうってつけ。
温度の低い吞み口で楽しむなら爽やかさや冷涼感を倍増させる「切子グラス」の様な伝統的酒器もまた嬉しい演出になります。
ワインをいただくときのグラス選び
お酒の世界スタンダードと言われるワイン。
やはり様々な形状のグラスが存在しています。
小ぶりなグラスから大柄なタイプまで本当にバラエティーに富んでいます。
ワインも日本酒と同様の醸造酒です。
考え方の基本は一緒なのです。
ワイングラスというのは、本来ワインの持つ香りや味わいを存分に引き立たせるために考案されてきました。
お酒と酒器とのマリアージュ。
もちろん食とのマリアージュも重要ですが、お酒を飲むときの器の基本を押さえておくだけで飲食の楽しみ方に幅が生まれることでしょう。
是非皆さんも実践して頂き、おしゃれな「酒のみ人」になってください。
(鎌田 孝/利酒師)