自己肯定感とは
日本人の自己肯定感の低さが国際的にみて低いことが、文部科学省等でここ何年か課題に挙げられています。
2013年度の「子ども・若者白書」(※)によると、「自分自身に満足している」と回答した若者(満13~29歳)の割合が統計対象の7ヶ国(日本・韓国・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・スウェーデン)の中で最も低い45.8%であることが明らかになっています。
次に低い韓国の割合が71.5%ですので、日本が突出してその割合が低いことが伺えます。
ここで改めて「自己肯定感」とは何かについてみていきましょう。
自己肯定感とは「自分は生きる価値がある、誰かに必要とされている」という具合に、自らの価値や存在意義を肯定できる感情のことです。
これは決して「自分を過大評価する」ということではなく、自分の良いところも悪いところも含め、全てを受け止められる前向きな感情であることがポイントです。
この自己肯定感が低いことによるデメリットは数多くありますが、「人と自分の比較により劣等感を持つ」「マイナスの自己評価で自己嫌悪に陥る」「常に不安感に苛まれる」などが代表的なところで、生きづらさを感じやすい傾向にあります。
自己肯定感は、人が成長していくうえで、さらに生きやすくするうえで必要不可欠なものです。
以下で、自己肯定感を高めていくためのコツをご紹介します。
ネガティブな言葉をボジティブに変換
自己肯定感が低い方の特徴のひとつに、ネガティブな言葉が多いことがあげられます。
「毎日30分走るなんて、無理」「どうせ三日坊主で終わる」など、ついネガティブな言葉を発している方は、「チャレンジする」などポジティブな言葉を意識的に使うようにしましょう。
昔から「言霊」といわれるように、自分の口から出た言葉は自分の耳で聞いているため、無意識に発したネガティブな言葉が、知らず知らずのうちにその通りになってしまうことも。
物事を好転させるためにはまずポジティブな言葉から、と心得ましょう。
悩みを記録する
悩んでいることをノートなどに書き出してみましょう。
ノートの左側に悩みを書き出し、2~3週間ほど時間をおいてもう一度見返してみてください。
そのとき書いた悩みがうまく解決・進展しているということも、実はかなりあるものです。
物事が好転した事例が「見える化」され積み重なることで、自分の自信につながるでしょう。
「人は人、自分は自分」と考える
自己肯定感の低下を招く原因として「自分と人とを比べ、人より劣っていると落ち込む」といったことがあげられます。
隣の芝生は青く見えるものですが、自己肯定感が高い人は「人は人、自分は自分」と考える習慣がついているものです。
人と比べて自分に足りないところに目が行きがちですが、無理をしてその人と同じようになる必要はありません。
自分の幸せは自分が決めるものですが、その基準が「他人」にあってはいつまでも幸せを感じとることが出来ないものです。
小さな目標から、成功体験を積み重ねる
大きすぎる目標を立ててしまうと、なかなか思うように実現せずに「自分はダメな人間だ」などと思ってしまいがちです。
たとえば、普段運動を全然していない人がいきなり「東京マラソンを完走する」といった目標をたて、結果全然走れず落ち込むというような状況です。
最終的に目指したいゴールが「マラソン完走」であったとしても、「今の自分では、マラソン完走は難しい」と自分を冷静にみつめ受け入れ、その時の自分に適切な目標をたてることが自己肯定感を高める第一歩となります。
例えば初めは「毎日30分、公園の周囲を走る」といった達成しやすい目標を設定し、達成出来たら「5km」「10km」「ハーフマラソン」といった具合に徐々に高い目標にしていくのです。
設定した目標をクリアしたときは「低い目標だから当然」などと過小評価せず、頑張った自分をほめることも大切です。
このように少しずつ成功体験を積み重ねることで「あのとき頑張ってできたのだから、今度もやれるだろう」といった自己肯定感が生まれやすくなります。
いかがでしょうか。
まずは不足している部分も含めたありのままの自分を認め、背伸びしすぎず適切な目標を立て、少しずつ達成感を得ていくことが自己肯定感を高めるために必要なのです。
※特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~ 平成26年版子ども・若者白書(概要版) 内閣府
(浅賀 桃子/カウンセラー)