詐欺サイトの動向
インターネット上には様々な脅威がありますが、ネット通販などで代金を振り込んでも商品が届かず、連絡も取れなくなる偽販売の詐欺サイトもその一つです。
こうした詐欺サイトで入力したメールアドレスや住所、氏名、クレジットカード番号などの個人情報は闇市場で売買されたり、不正な商品購入のために成りすまされたりする恐れがあります。
BBソフトサービス株式会社の「インターネット詐欺リポート(2016年12月度)」によると、ネット上で約160万件の詐欺サイトが検知されており、その約8割がワンクリックや不当請求の詐欺サイトでした。
また、詐欺サイトのOS毎の検知率を見ると、Windowsで2割強に過ぎないのに対し、Androidで約9割、iOSで約7割であり、スマートフォンをターゲットにしていることがわかります。
例年、年末にはクリスマスや年末年始セールを装った詐欺サイトが多数確認されますが、最近は定年退職や還暦のお祝いを対象にする等、日本の行事や慣習などを踏まえた詐欺サイトも確認されています。
詐欺サイトの特徴
詐欺サイトの中には著名な企業との関連性を匂わせたり、有名なサイトの名前を騙ったりするサイトもあります。
こうした詐欺サイトは本物の通販サイトの画像などを流用するため(詐欺サイト構築者にとって著作権は眼中にありません)、外見で見分けることは困難です。
しかし、注意深く確認すれば詐欺サイトだと怪しむことは可能です。
1.URL表記の確認
以下の様なURLは詐欺サイトの可能性があります。
・不自然な文字列がある
・サイト名とURLの表記が一致しない
また、氏名や住所の入力ページのURLに以下の様でないことを確認すべきです。
・URLが「https://~」で始まっていない
・ブラウザに南京錠のマークが表示されていない
2.支払方法等の確認
詐欺サイトのほとんどは銀行振込による前払いしか受け付けません。
クレジットカードだと返金処理も可能だからです。また、振込先口座が個人名義、特に外国人名義の場合は詐欺サイトの可能性が高いです。
3.会社情報の確認
特定商取引法では通信販売業者に事業者の氏名または名称、住所、電話番号の表示を義務付けています。よって、会社情報の記載がない、連絡先がメールアドレスのみ、といったサイトはすぐに離れるべきです。
また、以下の様な表記は詐欺サイトを疑うべきです。
・住所に番地までの記載なし
・電話番号が携帯電話番号
・メールアドレスがGmail等のフリーメール
4.その他
従来はサイトに見慣れない漢字や、日本語として不自然な表現がある場合は海外のネット犯罪者が運営する可能性が高く、見分けがつきやすかったのですが、年々改善されているため、見た目の判断は難しくなっています。
不自然に安価な商品や、多くのサイトで売り切れている人気商品が掲載されている場合は詐欺サイトの可能性があります。
詐欺サイトで被害に遭わないために
詐欺サイトは今後も日常のライフスタイルを反映し、様々な手口で増加する可能性があります。
詐欺サイトの構築は防止できません。詐欺サイトの被害に遭わないためには、以下の様な心構えが必要です。
・「激安」「限定」といった表記に惑わされない
・検索上位でも、見慣れないサイトにはアクセスしない
・セキュリティソフトを導入し、詐欺サイトのチェックを行う
・表示されたメッセージをよく読む
・個人情報入力の前に一度確認する
もし詐欺被害に遭った場合はすぐに警察や銀行に連絡すべきです。
被害金額が少ない、勉強代だと思ってあきらめる、等の理由で泣き寝入りする人も多いようです。
通報が早ければ振込口座を凍結して返金される可能性もあります。
被害を広げない意味でも、迅速な連絡が必要です。
(金子 清隆/ITコンサルタント セキュリティコンサルタント)