若者の新しい便利屋の活用
多種多様な用件を代行する「便利屋」というと、何かを運んだり片づけたり処分したりというイメージが強いですが、若者の間で新たな依頼が増えているといいます。
どのような依頼かと言うと、疑似友人とかサクラになって欲しいというものなのですが、なぜそういった要望があるのかというと、インターネット交流サイト(SNS)に掲載する写真に一緒に写るスタッフの派遣を求める相談が増えているのです。
その依頼の多くは20代女性を中心寄せられているそうです。
自分の誕生日パーティ、結婚式や披露宴、そういったイベントに友人の数が多い方がSNSに写真を投稿したときに都合がいいわけです。
生活の露出が当たり前になっている
かつて携帯電話が一般化した頃、携帯電話にデジタルカメラ機能が付いたことは、私たちの生活に大きな変化を及ぼしました。
更にスマートフォンやインターネットネットワークの高速化により、SNSというものが身近になりました。
“スマホで撮った写真をSNSにアップする”という行為が、私たちの生活スタイルの定番になっていますね。
飲食店では、多くの人が手を付ける前にシャッターを切り、イベントへ行けば写真をSNSで共有し、旅行へ行けば自撮り棒で写真を撮るわけです。
良い悪いとかではなく、もはや「私生活の露出」が普通であり、「私生活の露出」を通して「承認欲求」を満たす手段にもなっているのです。
インターネット上の自分で承認欲求を満たしたい
本来、自分の人生において、承認欲求というのは自分の行動や発言や状態に対して他者が反応することによって満たされていきます。
ところが、SNSというのはリアルな自分を表現するという場から、ややもすれば、自分以上の自分を演出する場となってしまっています。
身近なところでいえば、投稿されるプロフィール写真、投稿される写真をアプリで色々いじって”別人”になっちゃっている、というのはよく見かけると思います。
それによって満たされるのが「承認欲求」なのです。
「かわいい!」だとか、”イイネ”がつくことで、『認めてもらえた!』ということになるのです。
行き過ぎているインターネット上の承認欲求
“イイネ”の数は、もはや人をカリスマ呼ばわりするところまできています。
先日、あるSNSのカリスマは、SNSにアップする一枚の写真のために半日カフェ巡りに費やしたり、公園の砂場をビーチに模造したりして写真を撮っていました。
もはや、SNSの写真というのは、自分ではない自分を演出する場になってきているということです。
だから写真のための人材派遣もビジネスになるわけです。
インターネット上を生きる生き方は、現実ではありません。
それに疑問を感じ、目の前の人を大事にし、リアルな自分を好きで大切にできる生き方ができるといいですね。
(青柳 雅也/心理カウンセラー)