高齢者の就労は今後増加が見込まれる
経済産業省が2014年度から3か年行っていた「健康寿命延伸産業」の創出の成果報告会で、実証実験に参加した人の脳が活性化されたなどの報告がされています。
今後の高齢化を踏まえて、高齢者の就労はどのようになっていくのでしょう。
少子高齢化の影響で、日本の15~64歳の生産年齢人口は2013年で7,883万人と32年ぶりに8,000万人を下回り、2040年には、5,787万人まで減少することが予想されています。
一方65歳以上の人口は2013年で3,207万人から2040年には3,868万人に増加が見込まれています。
このような中で、企業としては、生産性を上げることはもとより、65歳以上の高齢者や子育てを行っている女性などに働いてもらう必要性が出てきます。
特に中小企業での人材不足が顕在化してきています。
また、現在年金の支給開始年齢が65歳へと段階的に引き上げが行われている最中で、更にマクロ経済スライド率が適用され、平成29年度は、年金額が前年より下回ります。
今後も賃金や物価上昇分まで上がることは無いと見込まれ、老後は年金だけでは生活出来ないのでは?という不安から65歳以降も働き続けたい、という高齢者も増加しています。
もちろん、社会参加をしたい、という考えから働き続けたいという方もおられます。
以上の点から、労使双方、65歳以降も働いてもらいたい、働きたい、と思惑が一致しており、今後は高齢者の就労が増えることは間違いないでしょう。
高齢者雇用の注意点
一般的に60歳以上になると、嘱託契約として現役時代の賃金の6割前後になることが多いようです。
高齢者を活用するにあたっては、①どんな契約にするのか、②どんな仕事をしてもらうのか、③賃金をいくらにするのか、④どんな評価をしていくのか、これらを考慮して労働者本人とも話し合いの上、納得して働いてもらう必要があります。
特に④どんな評価をしていくかで、モチベーションが変わってきます。
働きを公正に評価して賃金に反映していく必要があります。
また②のどんな仕事をしてもらうのかも重要です。
長い間積み上げてきた技能やノウハウを十分活用できるような仕事をしてもらうことで、やる気をもって働いてもらわなければなりません。
少子高齢化による生産年齢人口の減少は、顕在化してきていますから、高齢者を活用するための自社にあった仕組みを早急に作っておく必要がありそうです。
(影山 正伸/社会保険労務士)