相続税が掛かる人は8割増に!
平成27年に相続税が発生した方は、亡くなられた方全体の4.4% から8%となりました。
平成27年1月1日から施行された相続税の増税の影響で、相続税を納めた方は前年の8割増となった計算になります。
相続財産の金額の構成比は、土地38.0%、現金・預貯金等30.7%、有価証券14.9%の順となっています。
平成18年の構成比を見ると土地が47.8%でしたが、年々その比率は下がり、逆に現預金に掛かる人が増えています。
特に、配偶者を亡くされた時に様々な控除を使って相続税が非課税だった方が、もうお一方が亡くなった時は相続税が掛かるというケースが徐々に増えて来ています。
これからの相続対策について
相続対策というと、遺言作成などをする「分ける対策」と、土地だけや預金だけ持っている方は相続税を「払う対策」が必要になってきます。
現在の税法上、金融資産はそのままの金額で評価されます。
総資産額にもよりますが、圧縮は不動産を活用します。
また、早めに分ける方法として生命保険や生前贈与をうまく活用していきます。
生命保険を活用する
具体的に生命保険を活用する方法として、終身保険を使って節税するものがあります。
現在、3000万円と法定相続人一人あたり600万円の基礎控除がありますが、それに一人あたり500万円までの保険金の相続税非課税枠を当てることができます。
生命保険は請求後すぐに支払われることと、指定された人にお金を渡すことができます。
葬儀費用や納税資金に使うことができるので、相続税の節税と納税対策が同時にできる方法です。
現在、マイナス金利の影響で選択できる保険商品が少なくなっています。
加入する際は慎重に選びましょう。
生前贈与を活用する
今60代で相続を必要と考えられている方は、まだまだ寿命は長いということを前提に考えます。
そのような方にとっては、生前贈与を活用する方法があります。
例えば、年間100万円前後を配偶者と子ども二人の3人に贈与すると10年間で、約3000万円ご自身の財産を減らし、ご家族に移転することができます。
ただし、この方法は毎年同じ時期に同じ金額で贈与を続けていると、相続発生時に「最初からまとまった金額を贈与するつもりだった」とみなされて、さかのぼって贈与税が掛かることがあります。
贈与する側と贈与を受ける側とできちんと話をし、贈与契約書を取り交わすことも重要です。
その他に、ご家族のライフイベントによりますが、住宅取得時や教育資金を贈与する方法もあります。
移転によって、財産の金額が減少しつつ、税率も下がります。
税金を納める事自体は素晴らしいことですが、納めすぎないようにすることで「財産は三代でなくなる」ようなことを避けられるのです。
争いを避けたいという気持ちから、相続は分ける対策に目が行きがちです。
対策した人とそうでない人では大きく差が出る相続税対策をすれば、自分で築き上げた財産を遺したい方により多く遺すことができます。
「早めに分ける」、「価格を小さくする」を意識して対策をしてみて下さい。
(杉山 夏子/ファイナンシャルプランナー)