夫が育児や家事を分担することで夫婦間は上手くいくのか?
育休から職場に復帰する時は、誰しも様々な不安を抱えると思います。
そのような中、女性が育休から復帰する際に育児や家事を夫と分担することが不可欠という声をよく聞きます。
しかし、単に夫が家事や育児をしたからといって女性のストレスが軽減されるわけではありません。
夫婦のやり方が一致することは稀である
以前私が執筆した「夫が家事を手伝うと夫婦円満になるのか」でも述べましたように、家事や育児はやり方が千差万別で、やり方や考え方が一致する事のほうが珍しいでしょう。
そして、この価値観の違いを受入れられない夫婦があるのも現実です。
中には「夫が家事や育児をすると逆にイライラする」「この程度で家事をした気になるなんて、女性が迷惑。」と声高々に掲げる方もいます。(バラエティ番組等では錦の旗のように、とりあげられることがあります)。
また、家事や育児を分担しても、子どもを見る目には夫婦で温度差があります。
例えば「子どもがお茶をこぼしたのだから、謝るようにあなたからも言ってよ!」と言い夫に腹を立てている妻。
一見すると妻は子育てに熱心で夫はサボっているように見えますが、これは温度差の違いです。
妻にとってはこの場で謝ることが大切だが、夫にしてみたら小学校に入るまでに謝れる習慣が身に着けばいいというだけです。
夫婦の価値観の違いを受入れることが大切
世間には家事育児は女性がすべきという風潮があるのは事実です。
だからでしょうか。女性がする家事は正当で、それにそぐわない男性の家事は不当という風潮も存在します。
しかし、男脳女脳と言われるように、男性と女性では物事の捉え方がハッキリと違い、それは家事育児に対しても同様です。
「女性も働く時代だから、男性も家事や育児をしろ!」という女性の声は一理ありますが、そのような声を上げている女性が「男性の家事・育児の捉え方は女性と違う」「その違いに自分はストレスが伴うかもしれない」という予測ができているかというと、大半の人は出来ていないように思われます(そもそも大半の女性はこのように理屈的には考えないと思います)。
この価値観の違いで、相手を批判する態度をとる人は、結局のところストレスがたまり、スムーズな育休復帰とはならないでしょう。
それだけでなく、そのような親の態度を見て育った子どもは「自分のやり方を押し付ける」「他者と考え方が違うことを受入れられない」「他人の好意を否定する」といった性格になりかねません。
これでは本末転倒です。
逆に価値観の違いを肯定的に捉えられる人はストレスも溜まらず、スムーズな育休復帰となるでしょう。
それだけでなく、子どもも「他者と自分の違いを受入れられる」人格に育ちます。
夫のことを「大きな子ども」という妻がいますが(確かにそういった夫も沢山います)、自分と違ったやり方を受入れられない妻も同様に「大きな子ども」です。
(中原 崇/社会福祉士)