認知症等の行方不明の原因は「徘徊」?
昨年、警視庁が認知症もしくはそれが疑われる方の行方不明者が、前年に全国規模で12,000人余りにのぼったと発表されました。
また、これらの統計により、認知症関連での行方不明者数は3年連続で1万人を超え、その2%が行方不明のままになってしまっているという事実が明らかとなりました。
しかし、この行方不明になる原因が「徘徊」という行為だと考えられていますが、具体的な対策が講じられているとは思われません。
こうしたことから警察庁は、認知症の症状により行方不明となってしまった方の早期発見及び保護のため、自治体等と連携し様々な取り組みを実施することになりました。
そして、大阪府警で更なる具体策が発表されました。
認知症徘徊情報、大阪府警が自治体に提供し再発は防げるのか?
認知症の高齢者の徘徊を防ごうと、大阪府警は4月から、保護した高齢者らの情報を居住する自治体に提供する取り組みを始めることになりました。
そして自治体は、その情報に基づき、認知症の治療やケアマネジャーが計画するケアプランの見直しに役立てることにより、徘徊の再発を防ぐ成果に期待しています。
更に、この仕組みによって認知症の高齢者を抱える家族の不安を解消し、家族と行政をつなぐ効果も期待できると考えています。
具体的には、認知症の疑いがある高齢者を警察官が保護した場合、大阪府警は家族らの同意を得たうえで名前や住所、保護時の状況などを自治体に文書で提供することになります。
また、大阪府では、昨年5月以降、大阪市城東区、平野区、東大阪市など5市区で試験運用を開始しており、城東区では同5~10月、保護した延べ83人のうち54人の情報を区役所などに提供しています。
認知症等徘徊は、地域連携で防ぐことができる
このような認知症等の徘徊の取り組みが、一部の地域ではありますが開始されました。
実際には、たくさんの課題があると思われますが、今後、高齢化社会を迎える日本において、居住する地域の関係各所との連携が不可欠であるには違いありません。
私の携わる介護業界においても、認知症の徘徊に対して様々な取り組みがなされていますが、このような情報を共有することによって、状況に応じた介護サービスを提供することが可能となります。
また、認知症に対する施策の一環では、国や自治体が関わってもらい、このような認知症等の高齢者の情報共有をすることで、「徘徊」を未然に防ぎ、最悪の事態である「行方不明」を防ぐ効果につながっていきます。
(松本 孝一/介護事業コンサルタント)