無気力状態から生きにくさを感じるようになる
「やりたい事が見つからない。」
「何事にも自信がないし頑張る事は無意味。」
「盛り上がる事はバカらしい。」
「どうせ自分の気もちなんて人には伝わらない。」
こんな風に思うことはありませんか?もちろん誰でもこのような気もちになることはあるでしょうが、問題は「常に」そう感じている場合です。
無気力や自信の低下は様々な問題や悩みを引き寄せ、負のスパイラルを生み出します。なぜなら、出てきた悩みや起こった不安に対し、解決しようという「やる気」が起きないので、気持ちが落ち込んだ状態が長く続き、やがて落ち込んでいる状態は当たり前のものとなり、自分を責めたり、他人のせいにするようになって、生きづらいと感じるようになってしまうからです。
無気力の根本原因は親が関係しているかも
無気力な心理状態に陥る原因は様々ありますが、自分の性格だけの問題ではなく、子ども時代の「親との関係」が影響している場合も多くあります。
多くの親は愛する我が子を想い、立派な大人になるためのサポートをします。また、子どもは親の想いに近づこうと必死に頑張っていきます。これ自体は全く問題ないのですが、注意したいのは、その想いの距離感です。
過干渉や過保護にみられるように、親の想いが子どもの想いに近づき過ぎた時、子どもの想いは排除され、親から子どもへの想いは「親が主人公となる一方的な期待」へと変わってしまいます。そして、そこから両者の目的は「子どもが親の期待に応えること」だけにフォーカスされてしまうのです。
そうなると、子どもが何らかの成果をあげたとしても、一時的には達成感・幸福感を感じますが、本当は親の達成感を満たしているだけですので、自分自身に対する本物の達成感を得る事はできず、次に何かを成し遂げようとする意欲には繋がりません。
また、何かをやろうと志しても、親からの指示や干渉が無いと逆に不安に襲われたり、「親の喜びや期待を考えての行動」しかできないため、やる気は長続きせず無気力に陥ってしまうのです。
自分のことを知らない第三者に相談してみる
勇気をもって、親と距離をおいてみることも大切です。親の期待を満たすためだけに生きるのをやめるのです。自分の親を切り離すなど、後ろめたい気持ちもあるかもしれませんが、結果的にはその方が親のためにもなるのです。あなたの親は、あなたが幸せに生きることを誰よりも一番願っているはずですから。
どうしても自分から踏み切れないという場合は、他人の助けを借りてみましょう。家族の悩みは家族以外には打ち明けにくいかもしれませんが、親子関係にしこりを残さず根本解決するためには、むしろ家族以外の第三者に間に入ってもらったほうが良いケースもあります。
もちろん、先生や友達など身近な存在の人に相談するのも、悩みや問題によっては良いかもしれませんが、こういった家族間や、人間関係に関する悩みに対しては、カウンセラーや行政機関の相談員など、自分のことを全く知らない第三者を頼ることをお勧めします。
自分に近い人であればあるほど、必ず自分の味方になってくれます。しかしそれが落とし穴になり、感情的に物事が進んだり、相手を責める(変える)方法ばかりに意識が向いてしまいがちです。話を聴く専門家であるカウンセラーは、「どちらが正しい・間違い」といった側面では判断しません。あくまで相談者の感じている気もちを中心に置いて、相談者が自分でどうするべきか?を導き出す方向で話を聴いていきます。
解決しようとしなくても良い
「え、解決しない?」
少し戸惑うかもしれませんが、私としては一番大切な事だと思っています。よく相談に来られる方の中には、「早期に解決しなければ!」と意気込んでおられる方もいらっしゃるのですが、長い間解決できなかったことを焦って解決しようとする必要はないのです。
そう簡単に解決できないということは、カウンセラーにも分かっていますし、解決しようと意気込めば意気込むほど、安易な方向に気もちが動く場合もあります。カウンセラーなど、専門家に相談する一番の目的は解決を急ぐことではなく、
・ 今自分が置かれている状況を客観的に整理・把握・解す事
・ 専門的な知識をもらう事
・ 自分が取るべき行動、歩むべき道を自分で決め決意できるまで寄り添ってもらう事
にあります。人は得てして「相手を変えれば自分が変われる」と考えがちですが、相手を変える事はできません。それが自分の親となれば尚更です。
変えられるのは自分だけ。まずは、親と距離を取り、自分を変えていく事が先決です。そして自分を変えてくれる応援者は必ず近くにいるということを忘れないでほしいと私は思います。
(つだ つよし。/心理カウンセラー)