「業界最速」表示巡り格安スマホ「フリーテル」を処分
格安スマホ「フリーテル」を開発・販売するプラスワン・マーケティングに対し、消費者庁は4月21日、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして同社に再発防止を求める措置命令を出しました。
その理由は、同社がフリーテルの通信速度を「業界最速」などと宣伝したからです。
「業界最速」、「業界最安値」などといった宣伝文句は一般的のような気もしますが、いったい何がダメだったのでしょうか。
「景品表示法」とはどういった法律なのかを解説いたします。
景品表示法とはどんな法律でどのような場合に違反となるのか?
景品表示法は、『景表法』などと略されることもありますが、正しくは、「不当景品類及び不当表示防止法」という名前です。
冒頭の事例は、景品とは関係ないので、「不当表示」の方の取り締まりに該当します。
景品表示法では、商品やサービスの品質、規格などの内容について、実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく優良であると一般消費者に誤認される表示を優良誤認表示として禁止されています。
「業界最速」という表示は、競合事業者のものより優れているという意味ですし、これが事実に相違していれば違反という評価になります。
事実に相違しているかどうかについては、内閣総理大臣は、期間を定めたうえで当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を業者に求めることができます。
提出された資料を分析しても合理的な根拠と認められない場合には、違反行為であると認定されますし、期間内に資料を提出できなかった場合も、違反行為があったとみなされます。冒頭の例では、資料を提出したものの、合理的な根拠とは認められなかったようです。
この優良誤認表示に関して世間を騒がせた例としては、平成25年に大阪市内のホテルなどで食材を偽装していた事件があります。
ちなみに筆者は、バナメイエビというエビがいるということを、この時初めて知りました。
優良誤認表示と有利誤認表示の違い
景品表示法では、上記優良誤認表示のほか、商品やサービスの価格などの取引条件について、実際のものや事実に相違して競争事業者のものより著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を有利誤認表示として禁止しています。
先ほどの優良誤認表示との違いは、優良誤認表示が、商品の品質や内容を対象にしているのに対し、有利誤認表示というのは、価格や内容量(「他社の2倍!」)など、品質ではなく物量や安さなどを対象としています。
こういった有利誤認表示の例としては、某スーパーで「29日(肉の日)は半額!」といった広告があり、まるで特定の日は普段の半額で商品が提供されているような印象を消費者に抱かせるものでしたが、実際は通常販売価格を一旦値上げした上で半額表記をしているだけだったケースなどがあります。
消費者庁のホームページに色々な違反のケースが紹介されていますので、興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。
(河野 晃/弁護士)