男女ともに未婚率が過去最高を更新
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、50歳まで一度も結婚をしたことのない人の割合を示す「生涯未婚率」は平成27年に男性23・37%、女性14・06%だったと発表がありました。
平成22年の前回調査より男女とも3ポイント超伸びて過去最高を更新しています。
生涯未婚の人は男性のほぼ4人に1人、女性のほぼ7人に1人となり、現代人の「結婚離れ」は一層進んだといえるのではないでしょうか。
経済的要因は結婚にとってマイナスなのか?
なぜ、現代人は、結婚しなくなったのでしょうか。
大きな要因として、非正規雇用で仕事をしている人が増加し、それに伴い雇用の不安定化が未婚率を引き上げる一因になっているといいます。
経済的な問題が、結婚を踏みとどまらせているということでしょう。
自分自身が不安定であるのに、結婚して家庭をもつことは考えられないということなのかもしれません。
しかしながら結婚するということは、これから先の人生を共に歩んでいくパートナーができるということです。
経済的なことを考えると、結婚することで所帯の収入は2人分となります。
男女雇用機会均等法の施行により、男女の給与の格差はなくなりました。
単純に男性の賃金は昔ほどあがらなくなっています。
そして、女性の給与は、昔にくらべればあがっています。
それの単純にプラスすることで、豊かになります。
それこそ、結婚は、助け合えながら生きていく人が傍にいることになります。
それにより精神的にはずいぶんと気持ちは安心するのが人間です。
結婚することによって得られる経済的メリット
例えば、人生には、予期せぬ出来事が多くあります。
仕事面においても、今では大手上場企業でもリストラを余儀なくされる時代、いつ、自分の居場所がなくなるかわかりません。
また、両親もいつまでも自分の面倒をみてくれる存在ではありません。
親を看取ることは子供の大きな役割です。
そんな仕事やプライベートでの大きな変化の時に、パートナーがそばにいるといないとでは、自分自身の精神的な安定が大きく違うのは、火をみるよりも明らかではないでしょうか。
最近、婚活をスタートさせようと結婚相談所に入会する人達のきっかけは、お正月やお盆など世の中が家族で動くシーズンになると一人身は肩身が狭いし、言いようのない寂しさだといいます。
定年後、おひとり様の人生がやってきた時に、結婚相談所に入会しようと考える理由もこれに近いものがあるのではないでしょうか。
人間は経済的に満たされていても、ふと感じる寂しさに足りないものを補おうとするのではないでしょうか。
精神的に不安定なものを安定させようおちつかせようとするのではないでしょうか。
結婚がもたらすプラスの面
安倍政権とともに「働き方改革」における女性の社会進出について声高らかに唱える経済界。
これは、まだまだ日本が男社会であることの証明でもあります。
それを裏付けるかのように、昔も今も、「男性は結婚して(所帯を持って)一人前」という考え方は根強くあります。
今年の4月から大学1年生にキャリアについての講義をしていますが、18歳の50人程度のクラスの8割近い大学生が、結婚をして男性は初めて一人前であり、社会的に認められると感じているようです。
結婚することによる社会的メリットを十分に感じとっているのでしょう。
このように考えてみると、結婚はした方が良いと考えている人が多くいるようです。
2016年 厚生労働省国立社会保障・人口問題研究所が18~34歳の未婚者を対象に行った別の調査では、「いずれは結婚したい」と考えている男性は86%、女性89%と、結婚願望がある人は、9割近い高い水準です。
経済的な理由からの未婚率上昇も一因としてありますが、結婚したいけれどもなかなか結婚しない、あるいはしたくてもできない人達も結構多くいる現実がみえてきます。
経済的にも精神的にも、そして社会的にも、結婚がもたらすプラスの要因は多くあります。
そこに今一度、立ち戻り「結婚のメリット」についても考えてみたいものです。
(自念 真千子/産業カウンセラー)