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子どもの健全な発育にとって早期教育は本当に良いのか?

JIJICO 2017年5月21日 12時0分

親の間でエスカレートする早期教育熱

早期教育という言葉が踊り続けて久しいですが、その熱は冷めるどころか、あらゆるかたちで白熱しているようです。
〇〇式や〇〇メソッド、無数に乱れる言葉に、何を信じたらいいのか、困ってしまう親御さんも多いことでしょう。
内容を理解するよりもその流れに煽られている感も否めません。
賛否両論、いろんな意見はありますが、そのメリット・デメリットについて少し深堀してみましょう。

早期教育のメリット

早期教育は子どもが一般的な年齢よりも早く、外国語、芸術、スポーツなどの教育をスタートすることです。
脳が柔らかく、知的好奇心が旺盛な子どものうちに脳の活性化を図れば、将来に向けて役に立つのはもちろん、優秀に育ってくれるのではないだろうかという考えが基礎にあるようです。
挙げられるメリットとしては、「右脳のトレーニングで、記憶力・理解力がアップする」「得意分野を早い段階から伸ばすことができる」「小学校入学といった就学時に、勉強に遅れずにスムーズに学習を開始できる」などがあります。

デメリットにつながってしまうことも

ただ、そのほとんどが子ども主導というより、親のほうの意向が強く、熱が入り過ぎてしまうことも多いようです。
その結果、知らず知らずの内に子どもにマイナス影響を与えていることも否めません。
「子どもがやりたくもないものを無理強いされたと苦しんでしまう」「親の顔色ばかり窺ってしまう」「子どもらしく遊ぶ時間が減ってしまったことで、コミュニケーション能力に弊害が出てしまう」といった具合に、メリットの裏には、いろいろなデメリットが見え隠れします。

脳の発達への影響は?

脳の発達には、守られるべき順番とバランスがあると言われています。
まず、寝ること、起きること、そして食べることなど基本的なからだを動かすことを司る、生命維持や本能にかかわる脳が発達します。

次に、言葉や手先の動き、運動能力の脳が発達していきます。
小中学校での学習を中心に、大体18歳くらいまで時間をかけて育っていきます。

最後に思考力や創造性、実行力といった高度な人間らしさをコントロールする社会的な脳につながっていきます。

この3つは同時には発達しません。
最初に基本的な部分をないがしろにしないで、過剰に詰め込み過ぎないことが健全な脳の発達につながります。

乳幼児期に最も大切なことを優先的に行うことが重要

早期教育という言葉に焦ることなく、乳幼児期に何を置いても一番大切なのは「眠らせること」です。
人間本来の生活リズムを確立することは、ホルモン分泌や自律神経の安定のため必須で、脳が健全に育つのです。
そのうえで子どもらしく、太陽の光を浴びてしっかりと遊ぶことも健全な心を保つためにも重要です。
 
脳がまだ発達していない段階での詰め込み教育は、子どもにプレッシャーを与えてしまうだけでなく、多大なストレスにもなります。
何よりも、親子の触れ合いの時間、子どもとのコミュニケーションをしっかりと育むことが大切です。
与えるだけではなく、日常の中でのふとした様子を見つめ続けることも必要ではないでしょうか。

(田中 正徳/次世代教育プランナー)

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