子供にサプリメントを与える親が増加
サプリメントなどの健康食品を親が子供に与える事例が近年増えています。
そんな中、国立健康・栄養研究所がリーフレットを作成し、簡単に子供にサプリメントなどの健康食品を与えないように保護者に注意喚起したことが話題となっています。
当然ですが大人も子供の食事のバランスをとることが大前提です。
サプリメントは乱れた食事をカバーするために使うものではありませんし、いくらサプリメントをとっても普段の食事が乱れていたら全く意味がありません。
しかし、子供にサプリメントと与えている親というのは、さぞかし日頃の食事が乱れているのだろう、と思われがちですが、子供にサプリメントを与えている保護者が食事を疎かにしているかというとそうでもないようです。
前述の研究所の調査ではサプリメントを与えている家の食事はそうでない家に比べても野菜料理、魚料理などバランス良く食べさせる頻度がサプリメントを与えていない家に比べても非常に高いという調査結果を出しています。
日頃の食事にも充分配慮しているのに、なぜ保護者は子どもたちにサプリメントを与えるのでしょうか?
それは保護者が感じている漠然とした健康に対する不安感だとおもいます。
子どもたちにサプリメントを与えることで、保護者側が安心をしたいという気持ちを満たしているのだと思います。
「自分達が子供に与えている食事で充分に栄養がとれているのだろうか?」「どんなにバランスの良い食事を作っても充分に食べてくれない、食べる量が適切なのか?」など子供の食事のあり方について多くの保護者は不安に思っているようです。
しかし、国立健康・栄養研究所では子供のサプリメント摂取の注意喚起パンフレットの中でも『いろいろな食材をバランス良く食べていれば栄養不足になることはまずない』と伝えています。
サプリメントの摂取は子供にとってリスクも高い
また、サプリメントに関しては摂取する有効性よりも近年は品質に問題があるものが数多く販売されており、特保や機能性食品を含めると問題のある商品が数多く出回っており、新聞などのマスコミを賑わすことも度々あります。
ある意味子供に摂取させるリスクもかなりあるということも頭に入れておくべきだと思います。
健康食品は医薬品と違い品質管理が徹底しておらず、食品なので効能効果もはっきりしたものがありません。
安全かどうかわからないもの、何から作った原料でどんなものを使っているか?よくわからないものが数多くありますが、一般消費者がそれを判断することは非常に困難です。
医薬品に比べるとその様な意味ではるかに危険も多いですし、胃腸などの臓器がまだ出来上がっていない子どもたちが、特定の栄養素を過剰に摂取する健康上のリスクも当然あります。
サプリメントの摂取は専門家に相談して判断することが望ましい
医薬品は特定の成分を摂取した場合、どんな効果があって、どんな副作用があるかもきちんと報告がされていますが、健康食品で使っている成分は医薬品でないのでそのような報告はほとんどされていません。
そのあたりのリスクもしっかり理解した上で本当に自分の子供にその栄養素が必要なのか?不足しているのか?不足しているとしたら健康食品で摂取することが良いのかどうか?きちんと専門家に相談した上で判断することが望ましいと思います。
不安を解消するだけのために、自己判断で子供に健康食品を与えないようにすることはもちろんですが、多少食べ慣れないもの、苦手なものでも食べれるような楽しい食卓をご家族で作れるような環境づくりにもぜひ取り組んでいただきたいと思います。
(早川 弘太/健康コンサルタント)