主婦やシニア層のアルバイトが増加
パートやアルバイトを探している人達の中で、主婦やシニアの人達の割合が増えているそうです。
労働力人口が減少し、労働者の高齢化が進んでいることを考えれば当然の現象と言えますが、人手不足が叫ばれる中、企業側にも、主婦やシニアを活用しようという動きが少しずつ広まってきているように見えます。
主婦がアルバイトの場合の利点
私は、大型店舗で人事教育を担当している頃から、若いアルバイトと主婦とでは、仕事への貢献の形が違うと思っていました。
例えば、食品レジを考えてみると、レジを打つスピードが速いのは、圧倒的に若いアルバイトです。
しかし、年齢の高い主婦は、スピードこそ速くありませんが、商品の扱い方も丁寧だし、細目に汚れている所をきれいにするなど、お客への気配りが行き届いていました。
どちらもお店にとっては貴重な戦力で、生かすも殺すもお店次第です。
また、学生アルバイトには、学業を優先させていたので、試験期間中は休ませたり、就活が始まると日数を減らしたり、面接で急な休みが増えたりと、お店としてはシフトで困ることもありました。
一方で、子どもの小さい主婦だと難しい場合もありますが、年齢の高い主婦やシニアだと、けっこうシフトの無理も聞いてくれます。
人のいない時間帯に、嫌な顔一つせず入ってくれる人はとてもありがたく、それだけお店への貢献度が高いという評価をしていました。
若い人は、辞めても他にいくらでも働くところはありますが、年齢が高いと他に行くにくいということもあり、卒業すれば辞めるアルバイトに比べて、定着率もいいのが主婦やシニアでした。
中高年の再就職を受け入れる企業も増加傾向に
ところで、私は、この何年か中高年の再就職に向けての訓練を担当しました。
事務系の職種を目指す45歳以上の求職者が対象ですが、訓練生のほとんどが年齢を感じさせない人達でした。
半年間、訓練を受けながら、就職活動をして多くの人が再就職を果たしました。
一昔前の中高齢者と違い、現在の中高齢者はパソコンも使いこなせますし、柔軟性も高いです。
そんな中高齢者を受け入れる企業が増えてきているのではないでしょうか。
数か月前には、定年退職して短時間労働者として再雇用された人達の研修を担当する機会がありました。
今までは、再雇用者にわざわざ時間とお金をかけて教育をしようという考えは企業にはなく、受講する当人達も今さら研修でもないだろうと捉えるのが普通でしたが、時代は確実に変化しています。
主婦やシニアを活用するとなれば、企業としては、当然、より優秀な主婦や高齢者に来てもらいたいと考えます。
いい人に来てもらいたければ、時給を高く設定するのは当然の手段です。
主婦やシニアに対して採用の門戸を広げていかなければ、永遠に人手不足は解消しないでしょう。
(小倉 越子/社会保険労務士)