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人材確保へ解禁破り相次ぐ 就活本格スタート

JIJICO 2017年6月13日 9時0分

今年も新卒採用面接解禁とともに内定が続出

経団連が定める2018年大学新卒者の採用活動スケジュールも、いよいよ6月1日から解禁となっています。
各社いっせいに採用レースのスタートを切り・・・と言いたいところですが、実際には、1ヶ月以上前の5月1日時点までに半数以上の企業が採用活動を開始していたようです。
他方では学生の約3割が、同時点で内定を獲得しているというアンケート結果もあります。(アイデム人と仕事研究所 調べ)
昨年9月に安藤が執筆した記事「就活生は経団連の新卒採用スケジュールを信じて動けば大丈夫!?」でも言及しましたが、特に外資系やIT企業の採用活動が早く、実はもう今年に入って早々に、内定を出していたものと思われます。

経団連の指針自体、本当に必要なのか?

このように「おきて破り」の採用活動が半数に達する現状を見ると、そもそも経団連の指針自体が本当に必要なものなのか、考え直す必要があるのではないでしょうか。
ちまたでは『指針など、権威が勝手に発表するもので、法的な拘束力は無い。指針があっても無くても、採用したい企業とそこに応募したい学生が、それぞれ自由に活動をすればいいことだ』このような意見も聞かれます。
確かにその意見にも一理あり、特に学生の側が公的な相談窓口を利用することなく、自分だけで活動を進めるのであれば、何も問題はないでしょう。
しかし学生が、たとえば都道府県の就職相談施設を利用して就職活動をしようとすると、困ることもあります。
そういった公の機関では必ず経団連の指針をまもりますので、実際の学生の動きとタイミングが合わず、解禁日までは学生の求める支援ができないこともあるのです。

またもっと深刻なことは、業界によって指針をまもる姿勢に差がある事実です。
外資系やIT業界がこのような指針を気にせず、独自のスケジュールで採用活動する風潮が強いことはよく知られています。
一方で、たとえば建設業界は、そもそも行政の監督指導を常に強く受ける業界であるためかと思われますが、きちんと指針をまもって、6月までは採用活動を控える企業が多いようです。
しかし建設業界などは若者の採用に苦しんでいる企業が多く、本当なら採用活動を早めて、他の業界に人材がとられる前に確保したいと思っているかもしれません。

指針をまもる企業が、ますます人材確保に困ることになり、指針を無視する企業が、一歩先に若者を囲い込むような状況ができているように思えます。
その一端が、「オワハラ」という言葉に見て取れます。

今の制度を見直す時期に来ているのではないか

採用側と学生側の双方にとって、本当に公正に、実りのある採用/就職活動を実現させるには、一律のスケジュールを押し付けるよりも、正しくお互いを選び合って、ミスマッチを防ぐための選考方法等を啓蒙する方がずっと役に立つのではないでしょうか。

インターンシップ制度やその他の方法で、学生がもっと長期間にわたり業界や企業の研究をおこない、自分の適性を分析できるようなキャリア教育をするべきです。
中小企業に対しては、計画的な採用活動と企業アピールができるような支援が望まれます。
短期決戦の採用/就職活動をやめて、大学1回生からゆるやかに活動が出来るような制度をつくるべく、企業と大学の双方が行動を始めてもよい頃でしょう。

(安藤 ゆかり/研修講師・キャリアコンサルタント)

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