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変わりつつあるお中元 お中元を贈る際に注意したいマナー

JIJICO 2017年6月21日 9時0分

お中元の目的

今年もお中元の季節になりました。
贈答は日本の儀礼文化の核となるものですが、「結婚祝い、誕生祝い、新築祝いなどのように喜びを分かち合うため」、「香典返しや内祝のようにほどこしを受けた際の返礼」、そして「日頃お世話になっている人に感謝の気持ちを伝える」などの目的が有ります。

日本の贈答として最も一般的な物は「お歳暮」や「お中元」ですが、お歳暮は正月に里帰りされる先祖に供える供物を年末に本家に届けたのが始まりです。
一方お中元は中国から入った言葉です。1月15日を上元、7月15日を中元、10月15日を下元と呼び、それぞれの日に供物を供える祭りがありました。

これが日本に伝来したわけですが、日本のお盆に祖先を祀る風習と結びつき、お盆にお供えする物、あるいはそれを贈る行事を意味するようになり、さらに世話になった人、上司への季節の挨拶となりました。
最近ではデパートや商店街などもあの手この手の戦略を展開し、SNS等を駆使して派手な商戦を繰り広げているようで、挙句の果てには友人や自分への贈り物とするケースも出てきました。

しかし由緒あるしきたりの本来の意味まで変えてしまうのはいかがなものかと考えます。折角手間暇とお金を掛けて贈る以上、そのいわれや意義を正しく理解してより充実させていただければと思います。改めて「お中元を贈る際のマナー」に触れてみます。

贈る時期

お中元は季節の挨拶ですから、早過ぎても遅過ぎても感心しません。タイミングを大切にして下さい。加えて風習やしきたりは地域により異なりますので地域のしきたりの合わすのもいいでしょう。

一般的には7月の初めから7月15日までがおすすめですが、年中行事を月遅れでする地域は8月初めから8月15日までという場合もあります。

贈る相手

相手との関係を考慮して下さい。基本的には日頃お世話になっている人、上司などがお勧めで、友人や自分に対してお中元を贈るということはおすすめできません。また仕事関係は職場のしきたりに歩調を合わせばいいでしょう。

素敵なマナーを加味して贈ってください

贈答には「なぜ贈るのか?」という明確な理由が必要ですが、お中元は日頃世話になっている人に感謝の気持ちを形にする儀礼的な意味が強いので、それなりの礼儀作法が要求されます。特に日本のしきたりは神道の影響が強く、贈り物をする際は清浄を意味する白い紙に熨斗を付け水引を結びます。

お中元の熨斗は紅白の蝶結び、表書きは「お中元」、そして名前はフルネームになります。但し魚介類には熨斗はつけません。

ちなみにお歳暮やお中元は持続性を有する贈り物ですから、今回のみ贈る場合は「お中元」より「お礼」がいいでしょう。また贈る時期が遅くなったら、立秋までなら「暑中お伺い」、立秋を過ぎたら「残暑お伺い」として下さい。

何を贈るか

誰に何を贈るかについては、いくら気を使っても使いすぎることはないでしょう。なぜならあれこれ考えて、手間暇を掛けるからこそ人間関係が育まれるからです。

ポイントは相手の家族構成、ライフスタイル、年齢、嗜好に合わせればいいでしょう。昔はまさに「生きることは食べること」ですからお供え物は食べ物になります。お歳暮やお中元に食料品が多いのはその名残でしょう。

贈り方

お歳暮やお中元は日頃世話になっている方や生家に対する手土産持参のご機嫌伺いですから、本来は相手方に出向いて、心のこもった挨拶を交わして贈るのが筋です。

ちなみに他家や他社を手土産持参で訪問した際、玄関先では簡単な挨拶で済ませ、部屋に通されたら丁寧な挨拶を交わし、挨拶が終わったら品物を渡します。
都合により宅配便などを利用する時には送り状を添えるか、葉書や手紙で挨拶状を出すことをお勧めします。

お歳暮かお中元か迷ったら

本来お中元とお歳暮は両方するのが一般的ですが、都合でいずれか一方にする場合は格上のお歳暮を優先して下さい。お中元を贈ったらお歳暮も贈ることになります。

また今まで両方贈っていたのに都合で贈れなくなったら、今年は一度に両方とも止めないで、お中元を止めてお歳暮は残すほうがいいでしょう。そして来年は両方とも止めるという具合に段階的にして下さい。

お中元を頂いたら

お中元はお祝いではありません。目下の人から感謝の気持として頂くお礼の品ですから、基本的には品物によるお返しは不要です。但し贈り物が届いた報告とお礼の心は伝えて下さい。出来ればお礼状がいいと思いますが、臨機応変にして下さい。

どうしてもお返しがしたければ、後日食事に誘うとか、旅行などに出かけた時にお土産を贈ればいいでしょう。頂く立場にない場合は丁寧に理由を添えて断ればいいでしょう。

最後にお歳暮やお中元が広く普及した背景には、贈り物を通じ、心を通わせたい気持や、江戸時代の商人や明治以降のデパートの存在が挙げられます。しかし単なる夏のギフトではありません。品物を贈ることも大事ですが、相手に対する感謝の心が大切で、これが無いと虚礼になりかねません。

不必要に売り手の販売戦略に迷わされることなく、本来の意味を正しく理解して、相手の笑顔を思い浮かべながら真心込めて贈りたいものです。

(平松 幹夫/マナー講師)

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